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インフルエンザの遺伝子組換えワクチン 

[2023.12.29]

福島県内でインフルエンザウイルス感染が猛威を振る舞っていますが、郡山市であh年末近くになって(第51週)ようやく警報レベルを下回る数字が出てきました。とは言え定点あたり25.69人とまだ多い事には変わりなく、もうしばらくは注意が必要です。

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/608449.pdf

 

インフルエンザワクチンは、毎年接種していた方がいいワクチンです。郡山市では高齢者インフルエンザワクチンが1月31日まで延長されました。毎年接種することで免疫が維持されると考えられますので、まだ接種していない方は、1月中に接種しておくのが良いと思われます。

 

インフルエンザワクチンは、今のところ受精鶏卵を使ってウイルスを増殖させ、ウイルスを回収し、それを不活化したものをワクチンとして精製、使用しています。ウイルスは生きた細胞内でのみ増殖が可能ですが、卵も生きた細胞というわけです。もちろん体外にでたら温度管理は必要ですが。

インフルエンザワクチンはWHOが推奨するその年に流行しそうなワクチン株をA型インフルエンザ、B型インフルエンザから2株ずつ混合割れていますが、この鶏卵を使った方法だと、ウイルス増殖が思ったほどうまくいかない事もあるようです。精製されるウイルスが少なかったりすると、ワクチン不足という事態もおきることが有ります。今年のワクチンは十分足りているようですが。

 

最近のNEJMの論文で、高用量の遺伝子組み換え4価インフルエンザワクチンが、鶏卵を用いたワクチンに比べ、PCR検査で確認されたインフルエンザに対する防御効果が高いことを報告していました。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2302099

 

この遺伝子組み換えワクチンでは、鶏卵を用いたワクチンの3倍量のヘマグルチニン蛋白(中和抗体のターゲット)が含まれているとのことです。

 

18~64歳のワクチン接種者163万328例を対象に2018~19年、2019~20年のインフルエンザシーズンに試験が行われており、その結果、50~64歳の参加者でインフルエンザ陽性が認められたのは、遺伝子組み換えワクチン群559例(2.00例/1,000例)、標準ワクチン群925例(2.34例/1,000例)(相対的ワクチン有効率:15.3%、p=0.002)。同年齢群において、インフルエンザAに対する相対的ワクチン有効率は15.7%(p=0.002)だった問われています。

結論として高用量の組換えワクチンは、50歳から64歳の成人に対して、鶏卵ワクチンよりもPCRで確認されたインフルエンザに対する防御効果が高かったとしています。

 

有効性もさることながら、鶏卵でのワクチン精製が安定しない場合などは、組み替えワクチンもオプションになり得るのかと考えます。安全性や価格の問題などもクリアできれば、毎年「今年はワクチンが足りるか?」といった心配が無くなりそうで、よいかと考えます。

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