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アビガン、新型コロナウイルス感染症患者を対象とした国内臨床第III相試験にて主要評価項目を達成

[2020.09.24]

富士フイルムHDから新型コロナウイルス感染症患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」の国内臨床第Ⅲ相試験において、主要評価項目を達成したことについての発表がありました。

 

詳細なデーターはまだですが、今回の治験においては、「症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快かつウイルスの陰性化までの時間」を主要評価項目として、「アビガン」投与の有効性と安全性をランダム化プラセボ対照単盲検比較試験で検討しましたとのことです。

今回の156例を解析対象とした研究において、主要評価項目の中央値、つまり「症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快かつウイルスの陰性化までの時間」が、「アビガン」投与群で11.9日、プラセボ投与群では14.7日でした。結果は統計学的に非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者に「アビガン」を投与することで早期に症状を改善することを、有意差(p値=0.0136)をもって確認できた、との発表です。

 

https://brand.fujifilm.com/covid19/jp/avigan.html

 

今回の発表で、文字通りの結果は、主要評価項目の中央値が、プラセボ群で14.7日であるのが、アビガン投与で11.9日に短縮したと言うことですが、なんとなくイメージが付きづらいかと思います。これだけ読むと15日が12日になった?と思ってしまうかも知れません。この値は中央値です。この中央値は平均値と異なるのに注意が必要です。中央値は全てのデーターを大きさの順に並べて中央にくる値で、順序的な意味での真ん中です。この研究のように、結果が、幅が出てしまう、つまり、回復しやすい様な人と、飛び抜けて治りにくく長引く人が交ざっていたりすることも考えられ、結果(日数)がかなりばらつくことが有ります。この場合平均値でなく、中央値が比較するのに良いのです。

結果として有意差をもって差が出たのはやはりアビガン投与の優位性が証明されたと考えて良いと思われます。

 

しかも、主要評価項目が「症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)の軽快かつウイルスの陰性化までの時間」です。「かつ」と入っています。症状が改善することと、ウイルスが陰性化されることが両方達成される期間で、これが有意に短縮されたというのは大きいです。

それぞれの項目がどのようになったのか、発熱期間がどのくらい短くなったのか、ウイルス陰性化までどのくらい短くなったのかなどのデーターの発表も楽しみです。

 

懸念点というか、今後どうなるか気になることがあるとしたら、今回の治験は「非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者」となっていることでしょうか。つまり、保険適用となる人も「非重篤な肺炎を有する」とつくのかと言う事です。CTで肺炎を確認しないと投与できないとかの条件が付くのかどうかと言う事ですかね。もし、ウイルス陰性化までの期間が短くなるのであれば、早めに陰性化させた方が重篤化も予防できますし、また、軽症者が療養中に内服可能となれば、イソジンうがいよりは拡散の防止にも役に立つのではと思います。

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