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インフルエンザウイルスについて

[2019.09.28]

インフルエンザの予防接種が始まります。郡山市では10月8日(火)から高齢者予防接種開始と発表がありました。現時点では、福島県において、定点あたり0.31(厚生労働省発表 2019年38週 9月16日~9月22日)と流行期には入っていませんが、今年はすでに沖縄県で流行期に入り、定点あたり52.2人と異常な事態になっているようです。他、佐賀県、鹿児島県、宮崎県など九州地方での流行が見られます。

さて、インフルエンザワクチンですが、今年のワクチン株は以下の4株

 

A型H1N1(A/ブリスベン/02/2018(IVR-190)(H1N1)pdm09)
A型H3N2(A/カンザス/14/2017 (X-327)(H3N2)
B型山形系統(B/プーケット/3073/2013)
B型ビクトリア系統(B/メリーランド/15/2016 (NYMC BX-69A)

 

となっているようです。このようにワクチンはA型、B型インフルエンザから、流行が予想される株4種類が選択され、ワクチンとして使用されます。ここでその4種類にH1N1のような型が記載されていることがわかると思います。

 

このHやNは、簡単に言うとインフルエンザウイルスの構造蛋白の種類です。下に簡単なインフルエンザの構造を示しておきます。インフルエンザウイルスの表面にはヘマグルチニンという蛋白があってHとはこのヘマグルチニンのことを指しています。

そして、このヘマグルチニンは、ウイルスが人に感染するときに非常に重要な働きをしています。ウイルスはこのヘマグルチニンを用いて、人の細胞表面にくっついて、細胞の中に侵入します。ここからインフルエンザ感染が始まることとなります。

 

つまり、このヘマグルチニンを無効化すれば、ウイルスは感染できないと言う事になります。このヘマグルチニンを無効化するのは、抗体ですので、つまりはワクチンで抗体を作り、防御しようというのがインフルエンザワクチンの目的となります。

ただ、ワクチン株の中にH1とかH3とか書いてあるのがわかると思いますが、実はこのヘマグルチニンには様々な型が存在します。少なくとも16腫類は見つかっています。しかも、そのH1やH3の中でもいわゆる亜型があって、つまり、微妙に違うH1が存在したりしているので、ヘマグルチニンの型としても非常に多くの型があるといえます。

インフルエンザウイルスは、ウイルスの分類の中ではRNAウイルスに分類されます。このRNAは非常に不安定な物質ですので変異しやすく、それで、微妙な変化の亜型が出来てきていると考えられます。

RNAは不安定なので、私たちの大切な遺伝情報はRNAではなくDNAとなっています。

 

このように、いろいろな型のヘマグルチニンがあるのですが、全ての型のワクチンを毎年作るのは困難です。そこで、次年度に流行しそうな株を予測して、4株を選択、そのワクチンを作っていると言う事になります。

なので、ワクチン株と違った株のインフルエンザが流行した場合、ワクチン効果があまり見られない事も考えられるのですが、これまでもワクチン接種量が下がると、インフルエンザ関連の死亡率が上昇すると言う論文は過去にエビデンスを持って報告されています。(N Engl J Med 2001; 344:889-896

やはり、インフルエンザワクチンは接種しておいた方が良いでしょう。

 もう少し詳しい解説をこちらにまとめておきました。インフルエンザウイルス感染症

 

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