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インフルエンザウイルス感染症がじわじわと?

[2022.12.25]

今年はインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行の注意喚起がなされていますが、インフルエンザウイルス感染に関しては、ちらほらと流行の兆しが見えてきているかも知れません。

厚労省の2022年第50週 (12月12日~12月18日)の定点当たり報告数は0.53(患者報告数2,592)であり、前週の定点当たり報告数0.25(患者報告数1,238)よりも増加しているとのことです。都道府県別では岩手県(2.84)、富山県(1.33)、青森県(1.25)、熊本県(1.14)、東京都(1.12)、神奈川県(1.05)、福岡県(0.91)、大阪府(0.82)、沖縄県(0.80)、京都府(0.57)の順となっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/001029492.pdf

 

インフルエンザウイルス感染症は新型コロナと異なり全数報告ではなく、定点(定点と定められた医療機関だけが報告する)あたりの報告数であるため、実際の人数はこの定点あたりの感染者数から、感染者数を推定し、流行状況を把握するものです。

2022年第50週 (12月12日~12月18日)の定点当たり報告数から定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると約1.9万人となるとのことです。前週の推計値は約0.8万人であり、およそ2倍に増加したと推定されます。2022年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約5.4万人となるそうです。

新型コロナウイルス感染者数よりは少ないですが注意が必要です。

全国で警報レベルを超えている保健所地域はなく、注意報レベルを超えている保健所地域は盛岡市のようです。

この、警報、注意報も定点あたりの報告数をもとにして発出されますが、インフルエンザの場合定点あたり10以上で注意報、30以上で警報となります。

https://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/idwr/idwr3/chart.pdf

 

昨年はインフルエンザの感染はほとんどありませんでしたが、今年は経済活動も活発になっており、人流も多くなっているためか、ちらほらインフルエンザの感染が出てきていると思われます。

 

最近では新型コロナウイルス感染症をインフルエンザ感染と同じ5類にするかどうかの議論が行われていますが、その判断材料として病原性=重症化率と致死率について、12月21日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001027743.pdf

 

重症化率と致死率は、石川県、茨城県、広島県のデータから算出されていますが、2021年7~10月(デルタ株流行期)、2022年1~8月(オミクロン株流行期)の新型コロナウイルス感染者のうち死亡/重症化した割合と死亡した割合を算出しています。同様にインフルエンザウイルスの重症化率も発表されていますが、示されているデータは、ほとんどの場合異なる方法で集められたものであるため、直接比較するにあたっては留意が必要でとされています。その上でワクチン接種が進んできていた2022年7~8月の60歳未満、60・70代、80歳以上の新型コロナウイルス感染の重症化率は0.01%、0.26%、1.86%、致死率は0.00%、0.18%、1.69%でした。オミクロン株が流行株の主体となっていることや、多くの人がワクチンによる免疫を獲得したことで、要因重症化率・致死率ともに昨年夏から大きく低下したと考えられています。インフルエンザウイルスの重症化率は60歳未満、60・70代、80歳以上で0.03%、0.37%、2.17%、致死率は0.01%、0.19%、1.73%と、新型コロナウイルスとほとんど差が無くなってきていることが示されています。

 

この様なデータを公表しつつ、新型コロナウイルス感染症を5類に持っていく事を考えているのかも知れませんが、インフルエンザウイルス感染はほぼ冬だけであるのに対して、新型コロナウイルス感染は1年中発生しうること、一定の割合で後遺症があること、インフルエンザ感染よりは抗ウイルス薬の使用/内服が簡単でないこと(併用薬禁忌など含めて)などを考慮しながらの判断になると思われます。

 

 

先日、ドイツに留学していたときにお世話になったマインツ大学のBrenner教授に誕生日のお祝いメールを送りました。そのとき、ドイツの今の状況を聞きましたが、ドイツでは今、マスクの着用は公共交通機関での着用が義務付けられているのの事ですが、ほとんどの人は守ってないとのことでした。ただ、医療機関の中もマスク着用が義務づけられていており、こちらは皆規則を守ってマスクしていると書いてありました。ただ、医療機関内だけでのマスク着用で、普段はマスクをしていない状況からでしょうか、医療スタッフの1/3がインフルエンザに感染したと書いてありました。ただ、新型コロナは日本より少なそうです。

日本の感染状況はドイツと少し遅れて波が来ているように見えます。

いま、感染対策を緩めると、本当に新型コロナとインフルエンザの同時流行の恐れが出てきてしまいそうですので、ドイツの様になるのはまだもう少し早いかも知れません。

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