メニュー

台風と気をつけるべき感染症

[2019.10.14]

10月12日の台風は日本全国に大きな被害をもたらしました。郡山市でも駅前、特に河川の近くは冠水し、被害が大きくなったようです。現在の郡山駅前は水は引いているようですが、地域によっては被害が大きく避難されているかたもいるかも多いと思われます。

このような状況の場合、様々な感染症に気をつけなければなりません。

避難所生活の場合、インフルエンザやノロウイルスなどの感染力の強いウイルスが持ち込まれた場合、一気に蔓延する可能性が有り、手洗いや咳エチケットを心がけることなどが重要になってきます。また、避難所生活となってしまった場合、トイレが不潔になりがちだったり、トイレの数が少なかったりなどの環境となる場合も考えられます。そのようなとき、なるべくトイレを使いたくないという心理から水分摂取を控えがちになる方も見受けられます。2011年の東日本大震災の時に際に見られたのですが、水分摂取を控え、トイレを我慢することで、膀胱炎などの尿路感染症を発症しやすくなってしまいます。この時は、膀胱炎から腎盂腎炎に移行し、入院加療が必要になる症例も経験しました。
もちろん、水分はきれいな安心してのめる水に限りますが、水分摂取、トイレを我慢しない、手洗いをすると言う事を守り、尿路感染を予防することも大切です。

 

また、東日本大震災のときには破傷風の発症が問題となりました。これはがれきの片付けなどの時に釘を刺したりして感染したと考えられています。破傷風菌は基本的には土壌などに広く存在している菌と考えられます。破傷風菌は嫌気性菌であり酸素を好みません。通常は、「芽胞」という種のような状態で、増えたりせずにただ存在しているだけなのですが、万が一釘を刺すなどで人体深く入り込んでしまうと、体の中は暖かく、水分が有り、そして刺し傷であると嫌気状態となるので、破傷風菌としては非常に良い環境となります。そして、芽胞から発芽し、菌が増え、毒素を産生する様になります。破傷風は予防接種が有りますので、事前にワクチンを打っておくなどの対策も必要かも知れません。

 

ほか、洪水の時にはレプトスピラ症も問題になる場合が有ります。レプトスピラは聞き慣れない菌ですが、ドブネズミなどが保菌し、尿中に排出される菌です。このような菌が、洪水と共に市街地に拡散すると考えられます。実際、シーカヤックのインストラクターのような方への感染が見られることが報告されています。レプトスピラに感染すると発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血、黄疸、出血傾向などが認められます。症状のみで、レプトスピラ感染症を診断するのはなかなか難しいですが、洪水の時などは、このような菌が、あふれ出た水と共に広範囲に広がってしまう事は頭に入れておきたいところです。

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME