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過活動膀胱

過活動膀胱OABは「急に尿意をもよおし、我慢できない(尿意切迫感)」もしくは「急に尿をしたくなり、トイレまで我慢できずに漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁))」「トイレが近い(頻尿)」などの症状を示す病態で、生活の質を大きく損なう可能性が有ります。

定義としては「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿と夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁は必須ではない。」となります。過活動腼胱の症状は4つの要素(尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿および切迫性尿失禁)から構成されることが多く、不快な蓄尿症状によって臨床的に診断されるものとなります。

40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっているとされ、実際の患者さんの数は約800万人以上と推定され、非常に多くの方が過活動膀胱を患っていると考えられています。しかし、実際に受診される方はそのごく一部であり、多くの方は我慢したり、あきらめたりしているようです。

「バス旅行が趣味だったのに、最近は行けなくなった。」「仕事中や会議中にトイレが無いときに非常にこまる」「何度もトイレに行かなくてはいけないので、同僚に気を遣う」など訴える方が増えており、過活動膀胱により、日常生活に不便さを訴える人が増えています。しかし、尿の症状で病院に行くのが恥ずかしいという方や、尿取りパットを使って我慢している人も大勢いるようです。過活動膀胱のみであれば重病では無いのですが、平均余命が伸びている現在、生活の質を保つことは非常に重要であると考えられますので、恥ずかしがらずに、泌尿器科を受診することをおすすめします。

過活動膀胱をおこす原因として、脳梗塞などの神経疾患など明確な原因がわかっている場合もありますが、前立腺肥大症や加齢に伴うものがあったり、原因がはっきりしない場合も多いです。前立腺肥大に伴う症状であれば、まずは前立腺肥大症の治療薬を優先します。神経疾患のばあいも、基礎疾患の治療が優先ですが、過活動膀胱の症状改善はなかなか難しいようです。

過活動膀胱の発症要因は

1. 脳疾患
•脳血管障害(脳出血・脳梗塞)
•パーキンソン病
•多系統萎縮症
•正常圧水頭症
•進行性核上性麻痺
•大脳白質病変
•脳腫瘍 など

2. 脊髄疾患
•脊髄損傷
•多発性硬化症
•脊椎変性疾患(変形性脊椎症・椎間板ヘルニアなど)
•急性散在性脳脊髄炎
•急性横断性脊髄炎
•HTLV-1関連脊髄症(HAM) など

3. 馬尾・末梢神経疾患
•腰部脊柱管狭窄症
•糖尿病性神経障害 など

4.非神経因性

<非神経性>
(男女共通)
•腼胱血流障害
•自立神経系の活動亢進
•腼胱の加齢
•腼胱の炎症

(女性)
•女性ホルモン
•骨盤臓器脱

(男性)
•腼胱出口部閉塞
•神経の変化
•腼胱平滑筋の変化
•尿路上皮由来mediatorの変化
•尿道からの求心性刺激の変化
•内分泌環境の変化

など多彩です。

最近の研究では、生活習慣病との関連も指摘されており、膀胱の血流も関係している事も多いようです。実際に、過活動膀胱の症状は秋冬など寒い時期に症状が強くなったりします。冷え性の人も同様に症状の訴えがあり、そのような方は、体を暖めることで対処している事が多いようです。しかし症状が強いと、寒暖差に関係なく「水も音を聞いただけで尿意がでる。」「水仕事始めると尿が漏れる」という訴えの方もいます。

過活動膀胱の診断のため、尿路感染症や基礎疾患の有無などのを診察し、過活動膀胱であると考えられる場合の治療は薬物療法が基本となります。最近では過活動膀胱に適用のある薬がいくつか出てきており、その有効性が確認されております。切迫性尿失禁の場合は、過活動膀胱を念頭に入れて、薬物療法でコントロールが可能であれば、内服を開始することをおすすめします。

 

過活動膀胱の治療は大きく分けて二種類です。排尿は副交感神経有意の時におきますので、おおざっぱに言えば副交感神経をブロックするか、交感神経を刺激するかになります。現在臨床で使用されているのは下記の2種類です。作用機序が異なるのでそれぞれの副作用も若干異なります。

 

1)抗コリン薬
•腼胱平滑筋のムスカリン受容体を遮断することによる排尿筋過活動を抑制することで効果を発揮します
•使用経験が豊富で有効性と安全性は確立されています
•全身のムスカリン受容体の遮断作用による副作用を考慮必要となります

心配される副作用:口内乾燥、排尿困難(尿閉)、便秘、頻脈、記銘力低(認知障害)、霧視(視覚障害)などです。


2)β3アドレナリン受容体作動薬
•膀胱に多く発現しているβ3アドレナリン受容体に選択的に作用することにより、腼胱の蓄尿機能を高めます
•心血管系への影響への懸念されています
心配される副作用:不整脈、高血圧

 

OAB治療薬(抗コリン薬・β3作動薬)を服用されている患者の平均年齢は74.0歳であり高齢者の服薬数は年齢とともに増加傾向にあります。高齢化が進む中で認知症患者も増加するため高齢者の総コリン負荷を考える必要があることが指摘されていますので、注意が必要です。

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