高脂血症
脂質異常症
心筋梗塞などの冠動脈疾患は LDL トリグリセライドTGの値が高いほどリスクが上昇します。高脂血症、脂質異常症はこれらの血清脂質が異常値を示す状態を指しています。
冠動脈疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患を予防するには、まずは生活習慣の改善が重要で、薬物療法と併用して行うようにすると良いでしょう。
生活習慣の改善で重要なのはまずは肥満があれば減量、標準体重を維持することです。また禁煙、受動喫煙を避けることも大切です。
食事は野菜、果物、海藻類、精製していない穀物、大豆などの接種を増やすこと、飽和脂肪酸の摂取を減らし、不飽和脂肪酸の摂取を増やすことも大切です。飽和脂肪酸は肉の脂身やバターに多く含まれます。一方不飽和脂肪酸はDHAやEPA等で有名ですが魚類、ほかエゴマ油、アマニ油、また、オレイン酸としてアーモンド等のナッツ類に含まれます。
十分な生活習慣改善策をとってもLDL値が十分低下しない場合は、リスクに準じて薬物療法を考慮します。特にLDL値>180であるならばスタチン系の薬剤を検討する事となります。
リスク計測には日本動脈硬化学会から「動脈硬化性疾患発症予測ツール」というものがはっぴょうされています。
脂質管理目標値
冠動脈疾患の有無やリスクの程度に応じて脂質異常症の管理目標値が設定されています。
- 一次予防・低リスク:LDL<160 mg/dl、TG<150mg/ml、HDL>40mg/dl
- 一次予防・中リスク:LDL<140 mg/dl、TG<150mg/ml、HDL>40mg/dl
- 一次予防・高リスク:LDL<120 mg/dl、TG<150mg/ml、HDL>40mg/dl
- 二次予防・冠動脈疾患の既往:LDL<120(<70*) mg/dl、TG<130(<100*)mg/ml、HDL>40mg/dl
*急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病で他のリスク=CKD メタボリックシンドローム、末梢動脈疾患などの重複や喫煙者などはこれに準ずる。
優先すべきはLDL値のコントロールとなります。
治療方法
一次予防ではまずは食事療法、運動療法を含めた生活習慣の改善となります。3~6ヶ月行った後に十分な脂質異常が改善しない場合は薬物療法を考慮します。
二次予防患者や遺伝性脂質異常症などのリスクの高い方は生活習慣の改善と共に薬物療法の導入を検討します。
高LDL血漿に対する薬物療法の第一選択はスタチンです。スタチンで十分な低下が認められない場合は小腸コレステロールトランスポーター阻害薬・エゼチミブ、陰イオン交換樹脂・レジン、PCSK9阻害薬などを検討します。
低HDL血症を伴う高TG血症の場合はフィブラート系薬を考慮します。
不飽和脂肪酸であるEPA製剤などはスタチンに追加投与する事で、スタチン単独投与より冠動脈イベントの有意な予防効果が示されています。
処方例
低リスク・中リスク
スタチン系
- プラバスタチン5~10mg 1T 夕食後
- ロスバスタチン5~10mg 1T
- シンバスタチン5~20mg 1T 夕食後
- アトルバスタチン 5~20mg 1T
- ピタバスタチン1~2mg 1T
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
- エゼチミブ 10mg 1T
高リスク
高強度スタチン系
- アトルバスタチン 5~20mg 1T
- ロスバスタチン5~10mg 1T
- ピタバスタチン1~2mg 1T
- 上記+
エゼチミブ 10mg 1T
コレバイン3g/日 食前
ロレルコ 500~1000mg/日 朝夕