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慢性腎臓病CKD

慢性腎臓病 CKD

腎臓は腰背部に左右1つずつ、2個ある臓器で、腎臓では体を循環する血液を糸球体で濾過して、余分な老廃物や水分を尿として排出する器官です。尿の中には、ナトリウム、カリウム、リンなどの電解質も排出され、体の水分量・血液量、血圧を調整しています。

 

慢性腎臓病CKDは、①尿の異常、血液検査、画像診断、病理などで腎障害が明らか(0.15g/gcr以上のたんぱく尿)、②GFR(糸球体濾過量)がが60mL/分/1.73m²未満、①②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続するものと定義されています。

 

CKDは進行すると腎不全となり血液透析や腎臓移植などが必要となる事があります。また、CKDは心筋梗塞や脳卒中,心不全などの疾患や,死亡のリスクを上昇させることが報告されています。CKDは加齢に伴うものも有りますが、重要なのは高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の伴うものです。CKDの進行、腎機能低下の進行を抑制するためにはこれら生活習慣病の治療介入が必要です。

その他、CDKの原因として多発性嚢胞腎、IgA腎症などがあげられます。

 

CKDの診断・重症度分類

 

検尿や血液検査などでCKDと診断されたら、原疾患、GFR、蛋白尿・アルブミン尿に基づいて重症度分類を行います。同時に、超音波検査などの画像検査で腎臓、膀胱、前立腺疾患の有無も確認しておくことも重要です。前立腺疾患や膀胱腫瘍などによる腎臓の腫れ(水腎症)の様な泌尿器科疾患の場合は原疾患の治療で改善する場合もあります。しかし、CKDの原因としては高血圧症や糖尿病が多くなっています。

 

CKD の診断と重症度分類には GFR とアルブミン尿検査を行います。実際はGFRの測定は煩雑なため、日常診療では血清 Cr 値に基づいてGFR 推算式を用いて eGFR として評価することとなります。また、CKD の診断と重症度分類に国際的にはアルブミン量が使用されますが、日本では尿蛋白を g/gCr として評価します.随時尿を用いて尿蛋白定量と尿中 Cr 測定により,尿蛋白/Cr 比(g/gCr)を算出し,0.15 g/gCr 未満をA1(正常),0.15~0.49 g/gCr を A2(軽度蛋白尿),0.5 g/gCr以上をA3(高度蛋白尿)としています。

蛋白尿の程度はこの様にA1(正常)、A2(軽度蛋白尿)、A3(高度蛋白尿)に分類されますが、一方GFR値によって、GFRが90以上をG1(正常または高値)、GFR が60~89をG2(正常または軽度低下)、GFR が45~59をG3a(軽度~中等度低下)、GFR が30~44をG3b(中等度~高度低下)、GFR が15~29をG4(高度低下)、GFR が15未満をG5(末期腎不全)と分類します。

 

CKDの治療

 

CKDによる腎機能低下に対して、腎機能を上昇させる治療法はありません。年齢と共に少しずつ低下して行くのが多いと考えられます。高血圧や糖尿病の管理を行い、可及的に腎機能低下を抑制し、腎機能の低下を予防し、長く持たせることが目標となります。そのため、血圧を下げる、尿蛋白量を減らす、高脂血症、糖尿病をコントロールすると言うことが中心となります。

 

高血圧の治療

血圧は140/90以上でかつ、脳心血管疾患の既往、糖尿病、喫煙歴ナとがある場合はただちに薬物療法が必要となります。内服薬としてはカルシシウム拮抗薬、利尿剤、RAA系となります。高齢者では過降圧を避け、110~150mmHgを目標とします。

 

処方例

・アムロジピン5 1T 1X

・ニフェジピンCR20 1T 1X

・カンデサルタン2~8 2T 1X

・ロサルタンK 12.5 1T 1X

・オルメサルタン10 1T 1X

ヒドロクロロチアジド12.5 1T 1X

 

糖尿病の治療

血糖値の目標値はHbA1c<7.0となります。血糖値は早期からのコントロールが重要です。食事療法、運動療法も重要ですが、3ヶ月で目標に達成しなかった場合は内服療法を開始した方が良いでしょう。内服薬にはインスリン抵抗性改善薬、SGLT阻害薬、DPP4阻害薬などが有ります。

 

処方例

・メトホルミン500~2250mg 3X

・テネリア20mg 1T 1X

・フォシーガ10mg 1T 1X

・カナグル100mg 1T 1X

 

SGLT阻害薬であるフォシーガ10mgは糖尿病の有無にかかわらず慢性腎臓病CKDの治療薬として承認されました。SGLT阻害薬は腎保護作用があり、このフォシーガは慢性腎臓病患者において腎不全への移行抑制、心血管イベント抑制、全死亡率改善の効果が認められました。

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