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新型コロナワクチン:ブースターワクチン接種をした方がいい人とは

[2021.10.17]

福島県でも新型コロナワクチン、3回目ブースターワクチンが開始されようとしているようです。ワクチン接種完了がスピーディーに完了した相馬市では12月には開始出来るように進めているようです。同市ではワクチン接種後の抗体価を調べていて、2回接種後90日から下がってきていることを報告しています。この結果は、これまで論文で発表されている他国での結果と同じと考えてよいでしょう。

コロナワクチンを先行的に接種して研究してきたイスラエルで4868人が参加した研究結果の報告でも、ワクチン接種の3ヶ月後から減少していくことがわかっています。そしてワクチン接種後、抗体、つまり液性免疫の下がるのは特に、男性、65歳以上の人、そして免疫抑制状態にあるひととされています。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114583

 

米国からは2020年12月14日~2021年8月8日に、343万6,957例を対象におこなった、接種後6ヵ月までの予防効果を検証した研究結果を報告しています。この論文では、ワクチン有効性は、接種後1ヵ月は88%と高かったが、その5ヵ月後には47%に低下しています。デルタ変異株への感染予防効果についても、接種後1ヵ月は93%と高かったものの、その4ヵ月後は53%に低下しています。また、非デルタ変異株に対する感染予防効果についても、接種後1ヵ月は97%、4~5ヵ月後には67%に低下したことが報告されています。ただ、デルタ変異株によるCOVID-19関連の入院に対する予防効果は、全年齢で93%と高率でした。この結果は、抗体価は時間と共に減少してきているために、感染予防効果は下がってきているが、重症化は抑制できていることを示しています。

https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2821%2902183-8

 

この結果もあり、ブースターワクチンについては様々な意見はありますが、デルタ株が優位である昨今においても、ワクチンの効果は依然として高いものであり、特に重症化予防効果が高いままである、一般の人達へのブースターワクチンの追加は必ずしも必要ではないとの意見もあります。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02046-8/fulltext

 

ここでも、時間の経過に伴う中和抗体力価の低下は必ずしもワクチン有効性の低下を意味するわけではなく、軽症患者に対するするワクチン有効性の低下は必ずしも重症感染症への有効性の低下を意味するわけではないこと。この効果は、重症感染に対する防御が、時間と共に減衰する抗体反応だけでなく、長期に継続する記憶反応および細胞性免疫によっても媒介されるためである可能性があることを述べてられています。

これらの議論があることも含まれていると思われますが、今月米国CDCがブースターワクチンの対象となる人について、現時点では特定の集団が当てはまることを発表しています。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/booster-shot.html

 

 

CDCではブースターワクチンについて以下の人達が対象となるとしています。

 

1)高齢者および基礎疾患のある50〜64歳の人は受けるべき

2)介護施設などの入居者で18歳以上の人も受けるべき

3)基礎疾患のある18~49歳の人は受けてもよい

4)職業、環境的に感染リスクのある人は、受けても良い

 

です。

1)2)は原文で、should get a booster shotで、

3)4)はmay get a booster shotと少し弱い表現となっています。

 

1)について、65歳以上の高齢者および、50~64歳で基礎疾患のある人は受けるべきであるとされています。

 

2)について、18~49歳の介護施設などの入居者(Residents of long-term care settings)も受けるべきとしています。こういう施設の居住者は、しばしば基礎疾患のある高齢者とともにいる事が多いのが理由となっています。

 

3)18歳~49歳の基礎疾患のある人。基礎疾患のある人は重症化のリスクがあります。しかしながら、これらの年齢層では、50歳以上で基礎疾患のある人ほどは高くないので、リスクとベネフィットを考慮しつつ、接種を受けても良いとされています。

 

4)18歳から64歳の感染リスクの比較的高い職場の人などは接種を考慮しても良いとされていますが、そういった職業として、医療従事者、消防士、警察、ケア施設のスタッフを始め、学校の先生、食品産業の人、製造業者、郵便業者、公共交通機関、スーパーマーケットなどの職の人達を指しています。これらの人達も場合によってはウイルスに暴露されるリスクが高くなり、また広めてしまう可能性もあります。これは、感染がどの程度広がっているかによるところもあるので、リスクとベネフィットを考慮しつつ、接種を受ける可能性があるとしています。

 

 

今後、日本でのブースターワクチン接種がどのように進められていくかはまだはっきりと発表されていませんし、また、今後第6波がどうなるかなど不明な点も多いので、どういうふうにブースターワクチン接種を進めていくのが正解であるのかは難しいですが、いずれにせよいざというときに慌てないように準備をしておくことは大切かと思われます。

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