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これからのワクチン戦略は

[2024.03.30]

2024年3月をもって公費での新型コロナウイルスワクチン接種が終わりとなります。

2024年4月1日から新型コロナウイルスワクチンははインフルエンザと同じく予防接種法のB類疾病となり、65歳以上の高齢者および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器障害などがあり、また免疫機能に障害があるひと等が対象となり秋~冬の定期接種となります。60歳以下の方でも希望者は自費で接種する事となります。

厚生労働省としては自己負担額の標準的な接種費用を7,000円としています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001226290.pdf

 

ワクチン価格としては昨年末時点で3,260円としていたワクチン代でしたが、新型コロナワクチンのメーカーから、定期接種用に供給するワクチンの希望小売価格を聴取。昨年末時点で3,260円としていたワクチン代を、11,600円程度に見直し、その結果接種費用総額が15,300円程度と見込まれ、8,300円については、市町村に対して助成金を支給することにより、7,000円の自己負担で接種が行えるようにするとのことです。

 

7000円という価格で、どのくらいの人が接種するかという問題は出てくると思いますが、その時点でのコロナウイルス感染状況によっては控える人も出てくるかも知れないと思われます。

さらに言うと、全額自費でのワクチン費用の見込みは「15,300円」ということになります。

これを受ける人がいるのかと言われると、なかなか難しいと言わざるを得ないです。

ワクチン効果も徐々に落ちてくるうえ、接種者が少なくなってきたときのアウトブレイクが懸念されますが、こればかりはどうなるか予測難しいところです。

今後、新型コロナウイルス感染者による重症者がどのくらい出てくるかにも寄るかも知れませんが、一般的には肺炎球菌ワクチンのように高齢者のみ接種していく感じかもしれません。

 

昨年などは冬のインフルエンザ流行期の冬にはインフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンの同時接種が行われました。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり有効性安全性も確立されているので、接種がおすすめできるワクチンである事は確かです。

最近の論文でも、医療従事者を対象にした、2022/2023用のインフルエンザワクチンと、オミクロン株BA.4/BA.5対応二価ワクチン同時接種の前向きコホート研究で、その安全性が報告されています。

ワクチンに寄る発熱や倦怠感などの副反応の出現率は、非同時接種群27.4%、インフルエンザワクチン単独接種群12.7%、同時接種群27.6%と、2つのワクチンの非同時接種群に比較して、インフルエンザワクチン単独接種群は全身反応出現のオッズ比が有意に低かったとありますが、同時接種群は有意差がなかったとのことです。つまり、コロナワクチン単独投与でも、インフルエンザも同時に投与しても副反応には違いが無かったということです。

効果については。同時接種群のIgG抗体の力価は非同時接種群に対して0.84倍とやや低かったようですが、有意差なしとのことです。

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2809119

 

なので、今年の冬も流行期前には、2つ同時接種で良いと思われますが、やはりネックは価格です。インフルエンザ+新型コロナワクチンで、公費補助いれて8000円超えです。

今後の自治体の対応次第で変わるかも知れませんが、逆に自治体間での差が出るのかも知れません。

 

 

冬に流行するウイルスとして、インフルエンザよりはマイナーですがRSウイルスもそのひとつに上げられます。このウイルスはどちらかと言うと乳幼児も感染し、重症化することもあるウイルスです。友人の小児科医の先生もRSウイルス感染は、乳幼児でも人工呼吸器が必要になったりする事があり、嫌なウイルスだと昔から言ってました。そのため彼はRSウイルスウイルスの研究を継続して行っていました。ちょうどそのとき自分もウイルス研究していたので、共著の論文がいくつかあります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19595407/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18814254/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21503925/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19107959/

 

RSウイルスは乳幼児でも感染し重症化しますが、大人でも60歳以上、基礎疾患のある人、免疫機能の低下した人ではやはり重症化する事があります。実際基礎疾患のある人ではRSウイルス感染の入院率比が上昇することが報告されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34244735/

 

この論文では、RSV で入院する成人について 3シーズンの年間発生率は44.2~58.9/100,000であり、年齢層別発生率は18~49歳で7.7~11.9/100,000、33.5~57.5/100,000、および136.9~255.6/100,000でした。 それぞれ50~64歳、65歳以上。 慢性閉塞性肺疾患、冠状動脈疾患、うっ血性心不全患者の発生率は、これらの疾患を持たない患者の発生率と比較して、それぞれ3~13倍、4~7倍、4~33倍とたかかったと報告されています。

そこで近年ではRSVに対するワクチンも使用できるようになりました。

このワクチンのRSウイルス感染による下気道疾患に対するアレックスビーの有効性は、82.58%とのことです。

https://gskpro.com/ja-jp/products-info/arexvy/clinicalstudy/?cc=jp_oth_oth_pm-jp-rsa-wcnt-230011_106651

 

このワクチンは60歳以上のRSウイルス感染予防に用いられますが、ただこれも接種費用が25,000円前後と高価です

基礎疾患がある方は考慮して良いワクチンかと思いますが、やはり問題は価格です。

 

毎年、各ウイルスの流行状況や今後の自治体の補助の有無等から優先順位を考えつつワクチンを選択して行く事となりそうです。

 

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