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塩野義製薬 新型コロナ治療薬

[2022.09.30]

9月28日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス治療薬が最終段階の臨床試験で主要評価項目を達成したと発表しました。

軽症/中等症患者において、重症化リスク因子の有無、ワクチン接種の有無にかかわらず、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状(鼻水や喉の痛み、せき、発熱、倦怠感)が消失するまでの時間をプラセボに対して有意に短縮しました。

また、投与4日目(3回投与後)におけるウイルスRNA量を有意に減少させています。

https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/09/20220928.html

 

本薬投与によって、対象患者集団においてCOVID-19の5症状が消失するまでの時間はプラセボ群と比較して約24時間短縮、統計学的に有意な症状改善効果認められました(p=0.04)。これは非常に明るいニュースだと思います。この薬によって重篤な副作用や死亡例の報告はなく、良好な忍容性と安全性が確認されています。

 

この新薬S-217622は同社のコンパウンドライブラリーか見つけられたようでSARS-CoV-2 3CL プロテアーゼ阻害剤です。これまでのワクチンのターゲットであったスパイク蛋白と異なる部位を阻害します。ウイルスが細胞内に侵入したのち、ウイルスを複製する場合に3C-like protease (3CLpro)を使いますが、これをブロックしてウイルス複製を妨げます。

これまでもマウスの実験結果で肺内複製を用量依存的に阻害しておりました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8982737/

 

それが今、実際に臨床応用に向けて大きく前進しているようです。現在、塩野義製薬のこの薬はこれまでに軽症/中等症のCOVID-19患者を対象とした第2/3相臨床試験のPhase2b partまでが完了、現在はPhase 3 partおよび無症候/軽度症状のみ有するSARS-CoV-2感染者を対象としたPhase 2b/3 partを、日本を中心にアジアで実施中とのことです。

 

これまで新型コロナ感染症対策で、最も足りなかったのが、軽症者に簡便に用いる事ができる抗ウイルス薬でした。軽症であってもウイルスは拡散させることができてしまうので、早期に診断して早期に患者の輩出するウイルス量を減らすことが可能であれば、今後の感染拡大を抑制するのに非常に有用であると思われます。インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス薬のように、手軽に内服できる薬が早く市場に出てきてくれることを望みます。

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