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新型コロナウイルスワクチン、高い有効率

[2020.11.18]

昨日は、米国モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンが94.5%の有効率と、大きく報道されていました。その少し前にも、ファイザー社のワクチンが90%以上の有効率を示したと報道されています。

この2社のワクチンはいずれもRNAワクチンです。

新型コロナウイルスのワクチンとなるプラットフォームは

不活化ワクチン、弱毒化生ワクチン、組み換えスパイク蛋白ワクチン、ウイルスベクターワクチン、DNAワクチン、RNAワクチンなどが考えられています。

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2798-3/figures/3

 

これらのワクチンは全て、新型コロナウイルスのスパイク蛋白をターゲットとしています。以前にも書いたと思いますが、このスパイク蛋白は新型コロナウイルスが人に感染する時に使用するタンパクで、これを抗体で覆ってしまえば感染できなくなります。こういった抗体は中和抗体と言います。

 

このスパイクに対して抗体を作らせるために、人の体内にスパイク蛋白をいれて、それを免疫細胞に察知させて抗体を作らせるという事が必要です。このスパイク蛋白をどうやって人の体内にいれるかという事ですが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。インフルエンザウイルスを不活化し、抗体のターゲットであるヘマグルチニンを注射しています。免疫細胞はこれを感知して、抗体を作ります。

 

これに対して、今回新型コロナウイルスに有効性を示したワクチンはRNAワクチンです。RNAはメッセンジャーRNA(mRNA)ですが、通常人の細胞内でmRNAはリボゾーム内で蛋白に翻訳されます。つまり、このワクチンはスパイク蛋白のmRNAを投与し、人の細胞内でスパイク蛋白を作らせて、それに対する抗体を作り出そうというワクチンです。

不活化ワクチンの様に一度ウイルスを増殖させる必要が無いので、短い時間で大量に生産することが可能になります。

 

今回の報道によると、後期臨床試験において3万人の治験参加者の半数にワクチン、半数にプラセボ(偽薬)を接種。接種は28日間あけ2回。その結果、全体で95人が新型ウイルス感染症を発症しましたが、ワクチンの接種を受けた治験参加者の中で発症したのは5人にとどまったとのことです。また、発症した95人のうち11人が重症になりましたが、この11人全員がプラセボの投与を受けていた人達で、ワクチンを受けた人には重症患者はいなかったとのことでした。

 

この結果は非常に希望の持てるものであると思いますが、まだ、解明しなくてはならないことが多く残っていることも指摘されています。

https://www.nature.com/articles/d41586-020-03166-8

つまり、ワクチンで予防できる範囲(スペクトラム)、無症状者においてウイルスの拡散を止めることができるのか、年齢層、人種などで差は無いか、有効性はどの程度継続するのか、安全性は、などです。安全性に関しては100%と言うものは存在しませんので、有用生が危険性を大きく上回れば問題ないでしょう。

期待のできる結果が出ているので、早く解明され臨床応用可能になることを期待したいです。

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