メニュー

インフルエンザワクチンの心保護効果

[2024.10.20]

10月に入ってから今季のインフルエンザワクチン、新型コロナワクチン接種が始まっています。どちらのワクチンも今季の流行株に合わせたタイプになっています。

インフルエンザワクチンについてはこの2024/25 シーズンで

・A/Victoria(ビクトリア) /4897/2022(IVR-238)(H1N1)pdm09

・A/California(カリフォルニア) /122/2022(SAN-022)(H3N2)

・B/Phuket (プーケット) /3073/2013 (山形系統)

・B/Austria(オーストリア) /1359417/2021(BVR-26)(ビクトリア系統)

となっています。米国では3価ワクチンのようですが、B型インフルエンザの流行予想が難しく、日本ではこの4価ワクチンになるようです。

新型コロナワクチンについてはJN.1株を対象としたワクチンになります。今年流行のKP.3株の上流に当たる株になります。9月まで使っていたXBB.1.5 株に対するものとは系統が異なる株ですので、今回のワクチンも接種しておくと安心かと考えます。

 

インフルエンザウイルスはもちろんインフルエンザウイルス感染予防および重症化予防のために用いられるのですが、近年ではインフルエンザワクチンの心保護作用が報告されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34459211/

 

この論文では、心筋梗塞またはハイリスク冠動脈疾患の人に不活化インフルエンザワクチンもしくは生理食塩水プラセボを投与し比較する、ランダム化二重盲検試験の結果を報告しています。研究では2016年10月1日から2020年3月1日までの間に、8か国30施設で2571人の参加者が無作為化され、インフルエンザワクチンに割り当てられた参加者は1290人、プラセボに割り当てられた人は1281人でした。

結果として、インフルエンザワクチン群とプラセボ群では、全死亡率はそれぞれ 2.9% と 4.9% (ハザード比 0.59、P=0.010)、心血管疾患による死亡率はそれぞれ 2.7% と 4.5% (ハザード比 0.59、P=0.014)、心筋梗塞率はそれぞれ 2.0% と 2.4% (ハザード比 0.86、P=0.57) でした。

心筋梗塞後またはハイリスク冠動脈疾患患者における早期のインフルエンザワクチン接種は、プラセボと比較して、12 か月時点での全死因死亡、心筋梗塞、またはステント血栓症の複合リスクの低下、および全死因死亡と心血管死のリスクの低下をもたらしましたと報告されています。

 

近年のメタアナリシスでは 745,001 人の患者を対象とした 15 件の研究を分析。インフルエンザワクチンを接種した患者では、プラセボを接種した患者と比較して、全死亡率 [オッズ比(OR)= 0.74、95% CI 0.64-0.86]、心血管死 (OR = 0.73、95% CI 0.59-0.92)、脳卒中 (OR = 0.71、95% CI 0.57-0.89) の率が低かったことを報告しています。結論として心血管疾患患者では、インフルエンザワクチン接種は全死亡率、心血管死、脳卒中の低下と関連しているとしています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37158999/

 

インフルエンザワクチン、コロナワクチンとも65歳以上、特に基礎疾患のある方には進められるワクチンです。心疾患のある方はもちろん、高血圧や脂質異常症などリスクを持っている方もワクチンを打っておくのがいいかもしれません。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME