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がんのリスク因子、米国からの報告

[2024.09.16]

2019年の米国におけるがん患者の数およびがん死に関連する、修正可能なリスク因子についてのデーター解析の結果が論文になっています。

著者らは、2019年に米国の30歳以上の成人における全体および30種類のがんについて、修正可能な危険因子に起因する浸潤がん症例と死亡の割合と数を推定し報告しています。これらの危険因子には、喫煙、受動喫煙、肥満、アルコール摂取、赤肉および加工肉の摂取、果物や野菜不足、食物繊維不足、食事性カルシウムの摂取不足、活動不足、紫外線、および発がん性感染症が含まれています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38990124/

 

データー解析からは、米国の30歳以上の成人におけるすべてのがんの40.0%(1,781,649件中713,340件)、およびすべてのがんによる死亡の44.0%(595,737件中262,120件)が、リスク要因に起因していたとのことです。

解析したリスク因子で、がん発症およびがん死に最も関連していたのは喫煙で、喫煙は、がん症例と死亡全体にそれぞれ19.3%と28.5%寄与していました。それに続くのは肥満(それぞれ7.6%と7.3%)、そして飲酒(それぞれ5.4%と4.1%)でした。

 

逆にそれらのリスク因子が関連していたがんおよびがんによる死亡が最も多かったのは肺がんで、これに女性の乳がん、メラノーマ、大腸がんが続いているとのことです。

 

喫煙に関連しているがんの割合は多いものから肺がん(85.6%)と気管がん(85.6%)で、次いで喉頭がん(80.1%)、咽頭がん(56.8%)、口腔がん(54.8%)、鼻腔・副鼻腔がん(54.2%)、食道がん(53.9%)ときて、次に泌尿器科系の膀胱がん(50.7%)となっています。

 

肥満について、関連するがん症例は男性では腎臓および腎盂がん(14,680 件)、肝臓がん(7,590 件)、食道がん(5,800 件)が最も多く、女性では子宮体がん(32,090 件)、乳がん(30,720 件)、腎臓および腎盂がん(8,950 件)が最も多かったとのことで、肥満も泌尿器系がんに関与しています。

 

アルコール摂取について、かんれんするがん症例数でいえば女性の乳がんの症例数が最も多く(44,180件)、男性(13,850件)、女性(4,630件)の大腸がんが続いていました。

 

食事に関しては、がんに関連するのはカルシウム不足の0.3%から、果物と野菜の摂取量が少ない場合の1.4%までの範囲でしたが、大腸がんに関して言えば食事中のカルシウム摂取不足は4.2%(6,090件)、赤身の肉の7.3%(10,610件)、食物繊維の摂取量が少ない場合の10.5%(15,150件)、加工肉の摂取12.8%(18,540件)までの範囲でした。

肥満、アルコール摂取、食事要因、運動不足の組み合わせによるリスク要因に起因するがんの割合 は、男性で 15.3% (タバコと受動喫煙の組み合わせでは23.1%)、女性で 22.5% (タバコと受動喫煙の組み合わせでは 16.1% に次ぐ) でした。

 

感染症に関してはHPV(男性では 0.1% ~ 1.2%、女性では 0.1% 未満 ~ 2.5%)、次いで男性では HCV 感染 (0.9%)、女性ではピロリ菌感染 (0.7%)でした。

 

 

米国と日本では環境、食事内容、食事量、人種など異なる因子が多く、これらのデーターがこのまま日本に当てはまるわけではないかもしれませんが、ほとんどは私たちもコントロールすることでがんの発生の減少には寄与できるのではと考えられるものばかりです。

結局は禁煙、節酒、バランスの取れた食事(カルシウム、野菜、果物含む)、適度な運動(体重コントロール)が大切ということでしょう。昔から言われていることばかりですね。そしてHPVにはワクチン、ピロリ菌の除菌なども大切です。

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