新型コロナについての視聴者からの質問事項:ゴジてれChu!長江アナと②
最近また、ゴジてれChu!の長江麻美アナウンサーから、新型ココロナウイルスワクチンについての疑問点や心配事などについての相談が来ました。高齢者の接種が大体落ち着いてきており、ワクチンの対象者が徐々に若い人に移りつつありますが、報道によると東京では打ちたくても打てない人も多く出てきているようです。一方、ワクチンは打ちたくないと考えている方も多いようです。現在日本でワクチンを2回撃った人は46%になります。日本のワクチン接種の伸びは100人辺りのdoseで見ると、急激に上がってきている印象です。
さて、最近あった質問は
1.接種後の副反応が心配です。実際に若い人の方が副反応でるのでしょうか?
モデルナ、ファイザーの副反応の違いは?と言うものでした
→NEJM Vaccine FAQにも、副作用として疼痛、発熱、頭痛、倦怠感があり、若い人の方が一般的に多いことはすでに述べられています。また、JAMA. 2021;325(21):2201-2202.での米国からの論文では、ファイザー製160万人、モデルナ190万人のデータで比較しています。モデルナ者の方に若干副作用が多い傾向ですが大きな差はありません。
最近では12~17歳の若年者にRNAワクチンを接種した研究がThe New England journal of medicine. 2021 Aug 11に掲載されていますが、若年者3,732例を、ランダマイズしてその安全性を評価しています。高頻度にみられた副反応は、mRNA-1273群が注射部位痛(それぞれ1回目93.1%、2回目92.4%)、頭痛(44.6%、70.2%)、疲労(47.9%、67.8%)、プラセボ群が同様に注射部位痛(それぞれ34.8%、30.3%)、頭痛(38.5%、30.2%)、疲労(36.6%、28.9%)。その際ワクチン群では感染者なし。プラセボ群は4例でした。結果若い人にも安全であると結論です。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2109522
2.高校生や大学生の子供たちのワクチンですが、接種を予約しました。しかし、副反応と将来が不安です。特に女の子はワクチンを接種すると子宮に問題が起きるため、将来不妊になったり、妊娠しても子供に影響が出るなどの噂も聞きます。これはそもそも事実なのでしょうか?と言うものでした。
→まずは、このワクチンは日本で実用化されてまだ1年も経っていない物です。長期的な安全性は今後もモニタリングして行く必要はあります。逆に、将来に不具合を起こすと言うことは今の時点では誰にもわかりませんし、逆にそういうことを断言している情報にエビデンスはないでしょう。WHOではこういった信憑性のない情報に惑わされないように注意喚起しています。
最近では妊婦さんが感染して、児の死亡があったと言うニュースもありました。妊婦さんのワクチンも進められている所と思いますが、ワクチン接種をした約4000人の妊婦が対象で、この中で妊娠を終了した827名について追跡調査した論文が有ります。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2104983?query=featured_home
結果として流産や死産、早産、および新生児の低体重、先天性奇形の発生率は、コロナ禍以前の調査結果と差がありませんでした。また新生児の死亡は報告されていませんでした。一方、CMAJ 2021. March 19, 2021に掲載のメタアナリシスの論文ですが、妊娠した438,548人を対象とした42件の研究の解析から、 妊娠中のSARS-CoV-2感染がない場合と比較して、COVID-19は早産(OR 1.82、95%CI 1.38〜2.39)および死産(OR 2.11 95%CI 1.14〜3.90の危険性が上がります。 また軽度のCOVID-19と比較して、重度のCOVID-19は早産の危険性が高いです(OR 4.29、95%CI 2.41〜7.63)、また低出生体重(OR 1.89、95%CI 1.14〜3.12)にも関与しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33741725/
この結果から、若い女性や妊婦さんも、ワクチンで子供を守る事ができるのではと思われます。
3.若い人はワクチンを打った方が新型コロナウイルスに感染するより死亡率が高いと聞いたのですが本当ですか?本当にワクチンは安全なのでしょうか?と言うものです。
→漠然とした不安があるのかも知れません。特に最近ではモデルナの異物が混入していたロットと近いロットのワクチンを打った30代の若い男性が亡くなったというニュースもあり、余計に不安となったかも知れません。無論因果関係の有無は精査されるべきです。
厚労省ではこれまでワクチン接種後に無くなった人についての情報を公開しています。
最近まで、死亡例について、対象期間までに、ファイザー社ワクチンについて991例、武田/モデルナ社ワクチンについて11例の報告がありました。この中には20代の比較的若い人も含まれていましたが、ワクチン接種者は5000万人超えています。一方、コロナウイルスによる死亡は現在日本で1万5800人です。感染確認は139万人です。
厚労省も接種後の死亡と、接種を原因とする死亡は全く意味が異なります。と言っており、これは区別するべきです。
個々の事例について専門家による評価を行うとともに、接種対象者の属性に留意しつつ、集積する事例に関する情報を収集し、評価を行っていくこととされました。
現時点において、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとされました。
情報を
見ていると、若い人で死亡率が高いとは言えないようです。とは言え、若年者でも死亡が出ているのは確かですのできちんとした調査が求められます。
しかしながら、若い人で重症化しなくても、16~30歳の若年層の52%が6ヵ月後になんからの症状を呈しており、味覚や嗅覚の喪失(28%)、疲労感(21%)、呼吸困難(13%)、集中力の低下(13%)、記憶障害(11%)などの症状が認められました。この様な後遺症を防ぐ意味でも、死亡率が高齢者より低いとは言え、若い人にもワクチンは重要ではないかと考えます。
8月25日にNEJMにでた論文で、ワクチンによる有害事象を検討しています。88万人のデーターで、これまで報告されていたほとんどの有害事象と統計的に関与していないとしています。ワクチンによる心筋炎のリスク(10万人あたり1~5)が報告されました。しかしながら、心筋炎は新型コロナ感染者ではワクチンの3倍以上です。この潜在的に重篤な有害事象および他の多くの重篤な有害事象のリスクは、SARS-CoV-2感染後に大幅に増加したとのことです。つまり、ワクチンでの有害事象は、実際のコロナ感染でも起こりえるうえに、その率はワクチンの数倍高い結果でした。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2110475
それであれば、やはりワクチンを打たない手はないでしょうと考えられます。
最後に、最近モデルナの二回目が打てないと学生さんからの相談がありました。都合により2回目の日に打てなかったのだが、職域接種が終わってしまい、どこに行って打てばいいかわからないとのことでした。これについて自治体にも問い合わせましたが、基本的に「モデルナでの職域接種を実施した学校が、2回目の接種を責任もって実施する」となっているとのことです。その上でどうしても接種できないときには、「モデルナの職域接種状況を把握している自治体に問い合わせしていただき、現在モデルナの職域接種を実施している他会場にて2回目を接種させてもらえないか相談すること」とのことです。
米国ではやむを得ない場合、いわゆる交差接種も大丈夫だったのですが、日本では認められていないようです。最近ではモデルナ難民と言われる人達も出てきているようですのでこの辺の解決策も必要になってくるでしょう。