「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」日本感染症学会
郡山市でも高齢者インフルエンザワクチンの接種が始まります。今年は令和3年10月12日(火曜日)から令和3年12月11日(土曜日)までの実施となります。
インフルエンザ感染については、昨年度シーズンはほとんど流行が認められませんでした。インフルエンザウイルスは飛沫感染をするウイルスです。そのため、通常の感染予防策=マスク着用+手洗い励行で感染予防が可能です。昨シーズンはまだ、コロナウイルスワクチン接種が開始されていなかったので、皆が厳重に感染予防策をとっていたためと思われます。
しかしながら、そうした予防策をとっていても新型コロナウイルス感染の広がりは阻止できませんでした。これは恐らく、言われているように新型コロナウイルスは空気感染もしくはそれに近いマイクロ飛沫による感染経路があるからと考えられます。実際、CDCによると新型コロナウイルスの感染性は、空気感染する水痘帯状疱疹ウイルスと同等とされています。感染力は「新型コロナウイルス>インフルエンザウイルス」と言うことができます。
なので、昨年と同様の十分な感染予防策をとれば、インフルエンザウイルスの流行する確率は低いかも知れません。しかしながらワクチンに関しては、日本感染症学会から「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」において『積極的な接種を推奨』としています。
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/210928_teigen.pdf
感染症学会によると、今年南半球でのインフルエンザの流行は、前年度同様少なかったようです。しかしながら、WHOによるとアジアにおいては異なっており、バングラデシュでは、2020年後半にA(H3N2)、2021年初夏よりB(ビクトリア)、インドでは、2021年夏季にA(H3N2)の流行を認めていました。
また、英国政府は、今年のインフルエンザは早期に流行が始まり、昨年流行がなかったために例年の1.5倍の大きさの流行になる可能性があるとして、特に50歳以上の人にはインフルエンザワクチン接種を呼び掛けています。
これらの報告を受け、日本感染症学会でも「2021-2022年シーズンにおいても、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨」しています。
ワクチンは基本的に同時接種が可能ですが、日本では新型コロナワクチンとは2週間感覚を明けることとなっています。ワクチン接種率は二回接種者が60%と米国を上回っていますが、今現在でも若い人を中心にワクチン接種が進んでいます。なので、まずは新型コロナワクチン接種が完了した高齢者から接種を進めていくのが良いかと思われます。米国cdcも、今年度のインフルエンザワクチンを推奨しています。
https://www.cdc.gov/flu/prevent/keyfacts.htm
ちなみに、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。 RNAワクチンである新型コロナワクチンとは全く異なりますので、発熱、頭痛などの副作用はほとんどありません。しかし、メモリー細胞や細胞性免疫の誘導がなく、長期的に効果が続かず、またインフルエンザウイルスもコロナウイルスよりもずっと多くの亜型があるために流行が予想される株が毎年異なるため、毎年ワクチン接種が必要になってきます。
新型コロナウイルス感染での死亡率はインフルエンザ感染より高く、現在1万7000人を超えるかたが亡くなっています。しかしながら、インフルエンザウイルスも年間2500~3400人のかたが亡くなっている感染症であることを忘れてはなりません。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000720345.pdf
新型コロナウイルスワクチン接種が進み、緊急事態宣言も解除されました。今後は経済活動も活発になっていくことを考えた場合、インフルエンザウイルス感染に対しての予防策もきちんととっておくのが賢明と考えます。今年は医療機関はコロナワクチンに振り回される1年でしたが、加えてインフルエンザワクチン接種も進めていくのが良いと考えます。