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新型コロナワクチンについて:厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会

[2022.07.27]

新型コロナウイルス感染が、これまでに無い勢いで拡大してきています。感染が拡大してきている理由としては、1)ワクチン接種から時間がたっており中和抗体価が低下している、2)増加しているBA5にはワクチン効果が低いこと、3)行動制限が以前より緩和されている、4)酷暑のため、しめきった環境でのエアコンの使用などが考えられています。

 

まず、1)時間と共に中和抗体価が下がってきていることについては、現在高齢者への4回目のワクチン接種が進められています。4回目で必ずしもオミクロン株BA5に対して感染予防が高くなるわけではないようですが、重症化は抑制される事が報告されています。接種券の届いた方から接種するのが良いかと思われます。

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料が公開されていますが、これによると7月12日現在重症化の割合は年齢と共に高くなります。同様に死亡率も年齢と共に高くなります。

資料によると、陽性者のうち死亡者の割合は、80歳以上で5.77%と高率で、次いで70歳代で1.92%、60歳代では0.47%と報告されています。50代だと0.12%まで低下、40代では0.03%まで低下します、それ以下では死亡者は0ではないですが割合としてはかなり低く、全年齢の死亡率は0.33%となっています。年齢別のリスクを考えると60代以上で4回目を進めているのはきわめてリーズナブルと考えます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000968057.pdf

 

この資料では、オミクロン株対に対応したワクチンについても記載されています。2)これまでのワクチンではオミクロン株に対する効果は薄いのですが、オミクロン株対応(BA1ですが)ワクチンではBA.1に対する中和抗体価が従来ワクチンと比較して優越性を示したことが報告されています。今使われているワクチンはmRNAワクチンですのでBA4/5に対するワクチンもあまり時間をかけずとも作成できると考えられます。他、ノババックスワクチンについても記載がありますが、こちらは組み替え蛋白ワクチンであるため、mRNAワクチンと比較してもう一手間かかるので、mRNAワクチンのほうがオミクロン対応ワクチンが早くできる可能性は有ります。ただ、事務局からは「ノババックスは、mRNAワクチンと同様に、1回目・2回目に用いたワクチンの種類にかかわらず、3回目接種で使用できることとしてはどうか」との案も出ています。個人的にはこれには大賛成ですね。副作用も少ないことが予想されますので、今後の追加ワクチンとしては有力候補と考えます。

 

また、3)行動制限が緩和されていますが、経済的な事情を考慮するとやむを得ないところでしょう。ただ、まだ若い人の3回目接種がまだ十分進んでいない状況で、10代ですと20~50%、20代では30~60%程度です。デルタ株出現によって、コロナウイルスに対する集団免疫には80%程度必要ではないかと言われてきています。現在の状況では高齢者では達成されていますが若年者ではまだです。なので、たとえば学校など若者の集団においては集団免疫が達成されてない状況があるので、そういった集団でのクラスター→その親世代への感染拡大→その上の世代への拡大という状況が起こりやすくなっているのではと推察されます。

https://www.kantei.go.jp/jp/content/kenbetsu_nenreikaikyubetsu-booster_data.pdf

 

ワクチン3回で完全に予防できないにしても、ワクチンで感染後のウイルス排出量が減ることも報告されており、感染拡大を抑制できる可能性はあるところです。高齢者には4回目、若い人にも3回目接種をすすめ、可能な限り抑制をはかりながら、オミクロン対応ワクチンの登場を待つと言うのが現実的な戦略となると思われます。そこを進めていって、重症化率、死亡率を低いままに抑えることができるなら行動制限は緩和されたままでいけるかも知れませんが、実際は行動制限は感染者数の減少に大きく寄与することが分かっています。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1201971220322700#sec0060

 

コントロールが付かない状況となったら、また、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発出される可能性は否定出来ないのでしょう。あの時期に戻るのは嫌だと考える人がほとんどだとは思います。それならばやはりこれまでの感染対策の徹底とワクチン接種推進で感染を抑制して行くしかないところです。

夏休みにはいって、場合によっては同級生に会って、食事会などもあるかも知れませんが、4)暑い時期ですのでエアコンの効いた締め切った部屋で、大人数集まることはクラスターの危険性が高まります。可能な限り少人数、換気のいいところで、短時間ですませるなどの工夫も必要かも知れません。

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