マスク着用の考え方:厚労省
6月になりました。新型コロナウイルスのパンデミックが日本でも問題になってから、すでにおよそ2年半も経つこととなります。
今日は近所の百貨店で、人気の物産展が開催されるというので少し見てきました。平日ですが、まずまず人がいました。少しずつ経済活動も活発化していくと思われます。物産展で少し気になったのは、一人の大柄なスタッフと思われる男性が、あごマスク、つまりマスクはあごにかけて、鼻口は全く隠されていない状態で会場内を歩きながら会話をしていたことです。感染者数はだいぶ減ってきていますが油断は禁物で、特に人が多い室内ではマスク着用がまだまだ必要かと思います。
厚労省は先日マスク着用の考え方を発表しました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000942851.pdf
これによると、基本屋内ではマスク着用。図書館などで会話せず距離を2mほどとれるなら必要なしとされていますが、通勤電車やバスなどではマスクは必要です。屋外ではひとと距離がとれれば基本マスク着用は不要、会話を行わないランニング、サイクリング中等は必要なしとなっています。結構妥当な考え方と思います。屋外で距離のとれる状況に「鬼ごっこ」を例としてあげていますが、距離を保つために決して捕まらないことが必要かも!というのはご愛敬でしょうか。
米国CDCでもいまもマスク着用は重篤な病気を予防し、医療システムに負担をかける可能性を減らすとしています。米国ではそれぞれのコミュニティレベルでの予防策をとるようにとされています。米国ではそれぞれの州におけるそれぞれの地方のおけるリスクレベルが計算され表示されます。それぞれのコミュニティレベルに合わせた予防策をとるようにとのことですが、基本室内ではマスク着用がいいようです。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/about-face-coverings.html
日本でも東京とすごい田舎ではいわゆるコミュニティレベルは異なってくると思います。米国よりかなり狭い国土の日本では、米国と同じに考えるのは難しいかも知れませんが。
医療従事者において、感染予防については「標準予防策」というのを教え込まれます。この「標準予防策」と言うのは、医療行為において、医療従事者が感染するのを、そして医療施設で感染を広げることを防止するための重要な考え方です。「標準予防策」の考え方のキモは“全ての患者の血液、体液などを感染性のあるものとして対応する”ことにあります。“全ての患者の”というのがキモ中のキモです。ここで言う体液の中には唾液も入るので、唾液が飛び散った飛沫も感染性ありと考えます。全ての患者を感染性ありと考えると言うことは、「この人は感染者だから気をつけよう」、と言うような考え方ではないと言うことです。ある感染症に、どの人が感染していて者でどの人が感染していないか、すべてチェックするのは不可能ですので、感染の有無に関わらず対応すると言う考え方です。逆に、感染者の把握を完全にやろうとするなら、新型コロナに対する中国の上海がとったように一時都市をロックダウンして全員PCRするという方法になってしまいます。なかなかこれは難しい、と言うか普通はできない。なので、この標準予防策という考え方で感染の予防、伝播の予防をして行くことが求められます。
であれば、やはり今の新型コロナウイルス感染のパンデミックに関して、この考え方を当てはめた場合、さらに無症状や軽症の人もいることも考慮したとき、“全ての人の飛沫は感染性あり”と考えることは、過激ですが強力な予防策になる事は確実です。つまり、全員マスクをすることです。とは言え、標準予防策とは患者に対応するときの話ですので、「他の人と対応する=会話が生じるときにはマスクをする」というのが基本になるのではと思います。
厚労省のマスク着用の考え方は、なるべく多くの人に理解しやすいように場面を分けて説明されていると思われますが、この標準予防策の基本的考え方を理解しているとわかりやすいのではないかと思われます。