石橋医院 郡山市駅前 泌尿器科・皮膚科・腎臓内科のブログです
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新型コロナ、新たな変異株「グリフォン」

[2022.10.30]

最近新型コロナウイルス感染で懸念されているのは、組み替えによる新たな変異株の増加です。現在は世界的にB.1.1.529系統とその亜系統オミクロンが支配的で、特にBA.5系統が主流となっています。ただ、各国でオミクロンの亜系統間のさまざまな組換え体も報告されています。ニュースでは「グリフォン」や「ケルベロス」等の名称が報道されていますが、いずれもオミクロン株の変異株です。

「グリフォン」は2022年9月にシンガポールから報告されたBJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体XBB系統で、バングラデシュ、インド、シンガポールで検出数の増加がみられており、シンガポールにおいては、9月末より感染者数が増加傾向を示している一方で、重症者数の増加は見られていないとのことです 。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11572-sars-cov-2-21.html

この「グリフォン」はスパイクタンパク質の受容体結合部位にアミノ酸変異を有し、中和抗体からの逃避の可能性が示唆されて、中和抗体からの逃避能が高いことが示唆されています。

 

ウイルスの組み替え体ですが、ウイルスの場合しばしば起こりえます。これは遺伝子的に異なる複数のウイルスが同じ細胞の中に入ったときに起こりえるのですが、ウイルスは細胞内に侵入した後、ウイルス遺伝子を細胞内に放出します。そのとき、感染した一個の細胞内に複数腫類の遺伝子が入り込んだとき、似た遺伝子間で組み替えが起こってしまうのです。

こういうことが起こるのですから、感染するウイルスは厳密には1種類であるとは限らなないと思われます。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11469-sars-cov-2-20.html

 

今年、新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されているインフルエンザも既にたくさんおこしています。以前、新型インフルエンザが世間をさわがせた事を記憶している人も多いと思います。このときの新型インフルエンザウイルスは、豚インフルエンザとも言われていました。インフルエンザには鳥インフルエンザも有りますが、新型インフルエンザはこれらのウイルスの遺伝子の再集合したウイルスとなります。インフルエンザは遺伝子が人の染色体のように分節しているので、一個の細胞に複数腫類のウイルスが感染したとき、遺伝子をミックスして再集合、あいのこのウイルスができてしまうのです。今やこの新型インフルエンザウイルスは、通常の季節性インフルエンザとなっています。

 

人も生まれるときは父親と母親の染色体の組み合わせですし、そのとき染色体間で組み替えも起こるので、様々な個体ができうるのですが、ウイルスでも似たような現象があり、様々な個性あるウイルスが生まれてくる感じですね。

 

「グリフォン」はシンガポールで急速に拡大してきているようです。感染状況をグラフで見てみると、日本での感染ピークは欧州やシンガポールのピークから遅れてきているように見えます。

今後前回と同じように遅れてピークが来る可能性は否定出来ず、今のうちにオミクロン対応ワクチンを打っておくのが良いのだと思います。

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