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尿路結石とその予防法について

[2025.06.18]

本日、福島テレビが、暑い時期に気を付ける疾患として「尿路結石」があるのでその話をしてほしいと連絡があり、お受けしました。

確かにここ1か月、尿管結石の患者さんが増加しつつある印象です。小さい結石であれば自排石が可能ですが、大きくなると手術療法も視野に入れて経過を見なくてはいけません。

尿路結石とは、腎臓や尿管、膀胱などの尿の通り道に「石(結石)」ができる病気です。尿中の成分が濃縮し、固まることで結石ができます。この結石が、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ細い管、尿管に詰まると尿の流れがせき止められ、腎臓内に尿が停留し、いわゆる水腎症という状態になります。

主な症状は激しい腰痛や腹痛、側腹部痛、血尿などで、右か左の結石が詰まったほうのわき腹が痛くなる症状が多いです。初めて経験したときは大抵パニックになるくらいの痛みなので、救急車で病院に運ばれることが多いようですが、診断はCT検査ですぐわかります。

治療としては大きくてでなさそうだったら手術ですが、5mm以下の自分で出せそうな結石でしたら、水分摂取を多くして経過を見ることとなります。

尿路結石は40~50代の男性に多いですが、近年では女性や高齢者の患者も増えています。

また、生活習慣病(高血圧、糖尿病、肥満など)との関連が強く、食生活の欧米化や水分摂取の不足が発症に影響していると考えられています。

特に水分摂取が少ない、動物性たんぱく質(肉類)を多く摂取、食塩の摂取が多い、野菜・果物の摂取が少ない、メタボリックシンドロームなどはリスクとなります。

 

結石は再発率が高く、一度できた人の約半数が10年以内に再発するといわれています。ですから、「予防」が非常に大切になります。結石の再発予防には

・水分をしっかりとる

最も大切なのは「尿量を増やすことです。結石の元となる成分を尿で薄め、結晶化を防いで、石も排出しやすくすることが重要です。1日2リットル以上の水分摂取を目安にするとよいでしょう。

・塩分制限

食塩を摂りすぎると、腎臓から尿中にカルシウムが多く排泄されるようになります。尿中カルシウムが増えると、結石の原因となるシュウ酸カルシウムが形成されやすくなるので塩分制限も重要です。

・シュウ酸を多く含む食品は取りすぎに注意する

シュウ酸は、植物に多く、野菜やナッツ、チョコレートなどに多く含まれ、尿中カルシウムと結合すると結石の元になります。シュウ酸が多い食品はほうれん草、タケノコ、ごぼう、ピーナッツ、チョコレート、紅茶、さつまいも、バナナ などです。完全に避ける必要はありませんが、シュウ酸は水溶性なので 例えばほうれん草はゆでこぼすことでシュウ酸を減らせます。また、適度なカルシウム摂取は予防になります。腸内でシュウ酸とカルシウムが結合すると、便として排出されやすくなり、シュウ酸が尿に吸収される量が減少します。

カルシウムは乳製品・小魚・大豆製品などからバランスよくとるとよいでしょう。

・肥満と運動不足に注意するメタボリックシンドロームや糖尿病、高尿酸血症は結石のリスクを高めます。適度な運動と、体重管理が重要になってきます。

 

他には、必要に応じて薬物療法を行うこともあります。例えば

・クエン酸製剤:尿をアルカリ性にして、結石の溶解を助ける

・サイアザイド系利尿薬:カルシウムの尿中排泄を減らす

・尿酸生成抑制薬:尿酸結石がある方に適応

などがあげられます。

尿路結石は、予防と生活習慣の改善でコントロールできる病気です。一度でも結石ができた方は、放置せず、日々の生活を見直すことが大切です。

 

 

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