郡山市での新型コロナウイルス感染増加:マスクの効用
福島県の郡山市での新型コロナウイルス感染数が増加しています。軽症者がほとんどですが、福島県では郡山市だけ100人超えの感染者数です。市によると、感染が確認された多くはいわゆる夜の街関連のようです。そのため、市ではJR郡山駅周辺の接待を伴う飲食店の従業員に対し、唾液によるPCR検査を無料で行うこととしました。感染リスクが高い接待を伴う飲食店の従業員の間で感染拡大を防止し、利用客、家庭、学校、職場など市民全体の感染を防止することを目標としています。
「Go To キャンペーン」で、経済を刺激することが期待されていますが、新型コロナウイルス感染症対策分科会は、感染が広がりやすい「七つの場面」を明示しました。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20201006-OYT1T50066/
その7つの場面のうち、一番目に示されているのは「飲酒を伴う懇親会」です。大声をだして盛り上がり、狭い空間に長時間、大人数が滞在するといった条件がそろうと、感染の危険性が高まることは明らかです。くわえて「大人数やマスク無しでの会話」も指摘されています。他に「仕事の後や休憩時間」もありますが、こういった時間にお茶するのにマスクを取ってそのときに楽しくしゃべったり、もあり得るでしょう。「閉鎖空間での激しい呼吸を伴う運動」もですが、マスクをしていなければさらに飛沫、マイクロ飛沫が飛散する可能性が高いでしょう。
「七つの場面」はすべてマスクを取ってしまう機会がある可能性があります。
今の時期、マスクの着用は重要です。夏の暑い時期の外ではやむを得ない場合も有りましたが、感染の広がりを抑制するにはこの冬も皆がマスクをすることが重要と考えます。
医療現場での解析でも、医療従事者がマスクをすることで新型コロナウイルス陽性率の有意な低下に関連していたと報告されています。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768533
この報告によると、介入前の新型コロナウイルス陽性率は、0%から21.32%と指数関数的に増加しましたが、医療従事者のマスク着用、患者のマスク着用などの介入を行うと陽性率は14.65%から11.46%に直線的に減少、重み平均は1日あたり0.49%減少し、slope の傾きは1.65%変化(95%CI:1.13~2.15%、p<0.001 )。介入前と比較して、大きく減少したと報告されています。
JAMA. 2020;324(7):703-704. doi:10.1001/jama.2020.12897
また、最近はマスク着用がワクチン完成を待つまでに、免疫を生成し、それによって米ウイルスの拡散を遅らせるいわゆる人痘接種の一形態になる可能性があるとの説も出てきています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2026913
これまで、マスクは感染者が飛沫を出すのを抑制すると考えられていました。特に海外では。しかし、前出の論文のようにユニバーサルマスキングが実施された後、医療従事者の間で新型コロナウイルス感染が減少したことが示されました。
また、動物実験では高用量のウイルス投与は、ハムスターモデルにおいてCovid-19のより重篤な症状をもたらしました。またマスキングを使用すると、ハムスターが感染する可能性が低く、感染した場合、マスクされていないハムスターよりも無症候性または軽度の症状を示していました。
これが人でも同じ現象が起こるとすると、マスク着用により、たとえウイルスに暴露されても、実際に吸入されるウイルス量が減少するために、人に及ぼす影響が減るという可能性があります。それはすなわち、軽症者、無症状者として現れる可能性が有ります。実際無症候性感染の割合は、7月中旬にCDCによって40%と推定されましたが、無症候性感染率は、ユニバーサルフェイシャルマスキングを使用した設定で80%を超えると報告されています。しかも無症候性の感染者でも十分な細胞性免疫が誘導される事が示されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867420310084
まとめると、マスクすることは、無症候性感染者が感染を拡散させる事を抑制し、またマスクをしている事で感染から防御される、万一ウイルスに暴露されてしまった場合も、暴露されるウイルス量が減少するため軽症、無症状ですむ可能性があると言う事です。
これからも季節、忘れずにマスクは着用する様にしましょう。