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Go Toキャンペーン/重症新型コロナウイルス感染にデキサメタゾン

[2020.07.23]

Go Toキャンペーンが、東京抜きですが開始されました。春の緊急事態宣言、外出自粛などの措置で、経済に大きな影響があったのは肌で感じています。通常の商店だけでなく観光地も大きな損害を被っていると思われます。今回のキャンペーンは経済状況の回復を図るひとつの手段として開始されているのだと思います。ただ、人が移動すれば、ウイルスも人と共に移動します。ウイルスの拡散が始まるであろう事は否定出来ません。経済の活性とウイルス拡散の抑制をどうバランスをとって行うか、答えは誰もわからないのですから、手探りで、慎重に進めていくこととなるでしょう。

 

経済が再び活性化し、さらにウイルス拡散が押さえ込むことが出来ると言う事が理想です。ウイルスの拡散が増大し、患者数増加の歯止めがかからない状態になると、再び緊急事態宣言の時の状況に戻さなくてはならなくなるかも知れません。個人の出来る防御策は必ずとっておきたいところです。

 

新型コロナウイルスの検査が唾液から出来るようになっていることは報道されていると思います。この事からわかるように、ウイルスは唾液に含まれます。唾液は飛沫となって飛んでいきます。食事をとるときに夢中でしゃべっていると、食べ物まき散らしてしまう人、見かけますよね。お酒を飲みながら盛り上がって大声でしゃべっているとつば飛ばしてしまうことありますよね。こんな時、ウイルスの拡散がおこります。感染者が無症状の時に、気づかずに他人に感染させてしまいます。ウイルス拡散を防ぐ第一歩は、他人の前では必ずマスクをつけることだと考えます。特に正面に人がいるとき、人と話すときにマスクをしている事が重要になってくると思われます。

 

 

 

最近、ステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾンが新型コロナウイルス感染症の重症例の死亡を減少させることが報道されました。オックスフォード大学が主導しているRECOVERY)試験の結果ですが、デキサメタゾン6mgを1日1回、10日間投与するデキサメタゾン治療群(2104人)と標準的治療を行う標準治療群(4321人)の間で行われています。

 

治療開始から28日間の標準治療群の死亡率を比較して、人工呼吸器を装着した患者で41%だったのに対してデキサメタゾン治療群では1/3減少させて27%(リスク比:0.65、95%信頼区間:0.48-0.88、p=0.0003)。酸素吸入のみの患者においての死亡率が25%だったのに対して20%(リスク比:0.80、95%信頼区間:0.67-0.96、p=0.0021)だったとのことです。

ただし、呼吸器への治療介入を必要としなかった患者の死亡にはデキサメタゾンの効果を認めませんでした(リスク比:1.22、95%信頼区間:0.86-1.75、p=0.14)。

 

https://www.ox.ac.uk/news/2020-06-16-dexamethasone-reduces-death-hospitalised-patients-severe-respiratory-complications

 

この事から厚生労働省は抗炎症薬デキサメタゾンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として認定しました。デキサメタゾンは古くから有るステロイドで、様々な疾患に使われています。このデキサメタゾンは免疫抑制効果も有りますので、新型コロナウイルス感染時のサイトカインストームを抑制して死亡率を避けるのではと思われます。

 

 

 

さて、Go Toキャンペーンに戻りますが、キャンペーンが始まる前に、菅官房長官は、東京都の医療提供体制について「逼迫している状況にはない」との見解を示していました。それに対して、杏林大学の山口芳裕教授らが「『都の医療体制が逼迫していない』という政府の説明は誤り」と指摘しました。これを聞くと、どっちが正しいの?と思うかも知れませんが、ある意味「どっちも正しい」といえるのでしょう。

というのは、恐らく、菅官房長官が行っているのは文字通り、「現在」のベッド占拠率がまだ余裕があるので「逼迫している状況にはない」と述べたと考えます。

一方、山口教授はじめ専門家は「今後」逼迫するのがほぼ明らかである事からの発言であると考えます。重症患者は、感染確認から遅れて増加してくること、忽那先生が指摘しています。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200719-00188613/

 

 

そして、忘れていけないのは重症患者さんの入院期間です。先ほどのデキサメタゾンの研究の報告、死亡率を28日目に評価しています。つまり、重症化すると、少なくとも1ヶ月は入院が続いていると言うことです。症状によってはさらに長くなる場合もあります。専門家が恐れているのは、今後、ある程度重症患者が出てきたとき、そのベッドは一ヶ月以上他の患者さんには使えない、つまり、次の重症者が発生しても入院できないという状況が予想されるのです。ベッドが満床になったときのマンパワーも確保できているか、春先の状況のように、一般の治療をまた遅らせて対応しなければならなくなるのか、それに対応出来るか。そういう意味で、専門家の先生は「逼迫している」と発言していると思われます。

 

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