メニュー

インフルエンザの感染予防策

[2019.10.24]

今朝のNHKでも放映されていましたが、今年のインフルエンザの流行は、例年に比較して2~3ヶ月早いようです。感染しないに越したことは無く、きちんとした対策をする必要があります。

 

インフルエンザの感染予防策を理解するためには、インフルエンザウイルスの感染経路とウイルスの構造を理解するとわかりやすくなります。

先ず、感染経路ですが、インフルエンザウイルスは「飛沫感染」が主な感染経路となります。

この「飛沫感染」というのは、いわゆる咳やくしゃみで有病者からウイルスが拡散し、次の宿主に感染していくパターンです。一般的な風邪のウイルスもその経路です。「飛沫感染」の他の感染経路としては「空気感染」「接触感染」が有ります。「空気感染」というのは微生物を含む5㎛以下の飛沫核が、長時間空中を浮遊・空気中に対流し、空気の流れによって広範囲に拡散し、その飛沫核を感受性のある人が吸入するとこによって感染するもので、同じ部屋にいるだけで感染してしまいます。このような感染経路を示すのは、結核菌、麻疹(はしか)ウイルス、水痘(みずぼうそう)ウイルスです。「接触感染」は触って移りますが、性行為感染症などはその代表的なものでしょう。

 

飛沫感染の場合、唾液など水分と一緒に、咳やくしゃみなどで排出された微生物が感染する訳ですが、この水分、しぶきには重量があるので、飛ぶ距離には限界は有ります。これまでは約2メートルとされていて、施設や病院内で発生した場合で、個室および集団隔離が難しい場合ベッド間距離を2m以上に保つことが望ましく、カーテンなどによる障壁を設けるとされています。

この2mというのは、いわゆる泡沫の飛距離です。しかし、緑膿菌を対象とした研究ですが、咳やくしゃみの飛沫は4m飛ぶという報告が有ります(こちら)。4mといえば小さな病室であれば端から端まで届く距離です。

CDC: Centers for Disease Control and PreventionのHPより

 

そこで、マスクによる飛沫放出の抑制、マスクが無ければいわゆる咳エチケットの心がけが重要となってきます。

マスクは、新型インフルエンザが流行したとき、町中の多くの人達がマスクをしていましたが、基本的にマスクは健常者がするものでは無く、感染者が飛沫を飛ばさないように、つまり人に感染させないようにするアイテムです。ただ、マスクに感染予防効果がないかと言えばそうとも言えません。人はどうしても鼻・口周りに手を持って行きやすいので、不意に触ってしまうことを防具事が出来ます。また、医師などの医療従事者が患者さんを診察などする場合、咳やくしゃみをかけられる事もありますので、感染予防に有用です。

マスクが無い場合でも、咳エチケットを守るようにしたいものです。咳エチケットも簡単で、咳やくしゃみが出るときに、ハンカチやティッシュで、場合によっては袖で鼻・口を覆うと言う事です。両手で覆うという人もいますが、これはウイルス粒子が、手について、それをまたどこかに触る事を考えれば、避けた方が良いでしょう。

 

また、よく言われることですが、手洗いはやはり重要です。頻回な手洗いは様々な感染症を予防できることが、手洗いの習慣のない民族での研究で示されています。そして、手洗いが出来ない所でも、アルコール製剤での消毒は有効です。
インフルエンザウイルスの構造の所でも少し触れましたが、インフルエンザウイルスが人の細胞に感染するのにはヘマグルチニンHAが必要です。そしてそのヘマグルチニンはエンベロープという膜の上に乗っています。このエンベロープは人の細胞膜から来ていますが、生物で習ったように細胞膜は、つまりエンベロープも脂質で出来ています。そして脂質はアルコールで除去出来ます。つまり、インフルエンザウイルスをアルコールで処理すると、ヘマグルチニンHAの乗っているエンベロープを除去出来るので、感染性をなくすことが出来るのです。エンベロープを持つウイルスと、持たないウイルスが有りますが、エンベロープを持つインフルエンザウイルスに対してアルコールは有効です。

 

まとめますと、インフルエンザ予防と拡散防止には

 

1.まめに手洗い、もしくはアルコール製剤での消毒

2.マスク、もしくは咳エチケット

3.人混みに行かない。

 

ということとなります。普通のことなんですけど、年末は忘年会とかもあって、きちんとやり続けるのは難しいかもしれませんね・・・。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME