帯状疱疹ワクチンは2種類、その効果は
帯状疱疹は、過去にみずぼうそうとして感染し、潜伏している水痘帯状疱疹ウイルスが、再活性化し、神経走行に沿った疱疹と痛みを伴う皮膚疾患です。水痘帯状疱疹ウイルスは感染力が非常に強く、空気感染するため、ほとんどの人がこのウイルスを持っていると考えて良いと思います。幼稚園などで子供の発症者がいたりすると、一気に広がります。新型コロナウイルスとは比較にならない感染力です。
水痘帯状疱疹ウイルスは感染後、脊髄後根神経節に潜伏感染し、後に、加齢・疲労・ストレスをはじめとした免疫能の低下にともない発症します。
帯状疱疹は発症するとしばらく痛みが残ることもあり、早めに治療することが重要ですが、それ以前に50歳以降の方に対しては予防接種をうつと言う予防もおすすめです。最近ではワクチンを接種したいと言うひとも増えてきているという印象です。
帯状疱疹ワクチンには2種類有ります。ひとつは従来からある弱毒生ワクチンで、もう一つは最近使用されるようになった組み替えワクチンです。最近はワクチンを希望する方が増えていますが、どちらを選択するかはなかなか迷うようです。
弱毒生ワクチンの長期効果については米国の研究から報告されています。米国年齢50歳以上の150万5,647人うち、507,444人(34%)が帯状疱疹生ワクチンの接種を受け、帯状疱疹が発生した75,135人のうち、4,982人(7%)が帯状疱疹後神経痛を発症し、4,439人(6%)が眼性帯状疱疹を患い、556人(0.7%)が帯状疱疹で入院しました。ワクチン効果は時間と共に低下し、帯状疱疹に対するワクチンの有効性は、初年度の 67%から 10 年後には 15% (5% ~ 24%) に低下していました。帯状疱疹による入院に対するワクチンの有効性は、5 年から 8 年未満の間に 90% から 53%に低下するも、帯状疱疹後神経痛に対して 62%にとどまりました。
弱毒生ワクチンの効果は10年後には15%に低下しますが、帯状疱疹後神経痛に対しては高い有効性が保たれています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37940142/
一方、組み替えワクチンの効果は、50歳以上のかたで97%と高い有効率であることが報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25916341/
組み替えワクチンは新しいワクチンですので、弱毒生ワクチンほど長期観察がされていませんが、先日は組み替えワクチンの4年間の有効率が報告されていいました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38190712/
このワクチンは2回接種が基本です。論文では1回接種の場合は有効性が1年後に低下しましたが、2回接種の場合は4年間の追跡期間において有効性が低下しなかったとのことです。1回のみの投与後のワクチンの有効性は、1年目は70%、2年目は45%、3年目は48%、3年目以降は52%でした。 2回の投与後のワクチンの有効性は、1年目は79%、2年目は75%、3年目と4年目は73%と低下していません。
組み替えワクチンは2回接種することが重要ですが、問題は価格でしょう。
一回あたり2万円前後しますが、2回接種となると4万円を超えてしまいます。
自治体によっては半額の2万円程度助成があるところもあるようですが、まだまだ一部の自治体です。
ただ、どちらを選んでも効果はあると考えて良いと思われますので、費用と効果を考えて選択するしかないところです。