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東京アラート:新型コロナ対策 換気について

[2020.06.03]

新型コロナウイルス感染者が今だに続いている東京では、注意喚起を行うためのいわゆる東京アラートが発令されました。また福岡県北九州市では、検査数を増やし検査していたところ、陽性者が増加、そして小学生を含め多くが無症状であったと報告されていました。ここをどう考えるかですが、無症状の患者さんのなかでも、ほんの一部は感染を広げていく可能性のある方がいるのはわかっています。逆に多くの患者さんは感染を広げることもなく、治っていくのでしょう。ここの鑑別はどうしたら良いのか、難しいです。最近可能になった抗体検査では、感染の既往しかわからないので、鑑別は出来ないと考えます。

 

東京アラートの発令された今日、福島も暑い1日でした。梅雨入りしたら、変わるかも知れませんが、夏になればまた熱くなるのでしょう。そのため、日本救急医学会などの4団体が、新型コロナウイルス流行中の熱中症予防に関する提言を公表しています。

 

http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/news/gakkai/covid19_teigen_2006.pdf

 

マスク、換気ほか、注意点がまとめられています。

 

ここで換気についてですが、「屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。」とされています。

これは、まず熱中症が多く発生するのは外ではなく室内で、特に夏場は、室内の温度が外の気温以上に高くなることがあるため、エアコンによる室温の管理が重要となります。そして、その一方、新型コロナウイルス感染予防対策においては、いわゆる3密を避け、屋内の滞在時では『部屋の窓を風の流れができるように、毎時2回以上は開放(数分程度/回)し、換気を確保すること』が推奨されているところです。そのために新型コロナ感染予防のためには、適宜窓を開け、風通しをよくすることが重要と呼びかけています。

 

このような提言がなされたのは、まず新型コロナウイルスSARS-CoV-2の感染性が、エアロゾル状態で3時間確認されたことがあります。

 

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2004973

 

そして、新型コロナウイルスの患者さんが入院している武漢の病院で、エアロゾルに関して調査した研究では、エアロゾル中のSARS-CoV-2 のRNAの濃度は、隔離棟や換気のある病室では非常に低く、逆に患者のトイレのエリアで高かったこと、そして多くの公共エリアでの空中のSARS-CoV-2のRNAは検出されないが、混み合う傾向のあるエリアでは検出されたことから、ウイルスのキャリアがいたのではないかと推測されていることが有ります。

 

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2271-3

 

エアロゾル感染の可能性は否定出来ない状況であることから、まめな換気が推奨されていると言う事です。

 

このように書くと、いつ何時でも換気をしないと新型コロナウイルスに感染してしまうのではないかと考える人も出てきてしまうのですが、正確に言うと、換気の意味はあくまで、屋内のある空間に、一定数以上の人が集まる際に重要であると言う事で、万一無症状の感染者がいた場合に、他者への感染の機会を最小限にするためであると言う事です。

もしも、感染者でない元気な夫婦が、外出無く、ずっと二人でいたのであれば、換気は新型コロナウイルス感染予防と全く関係ない事になります。ウイルスを出す人がいない空間では、「換気しないと新型コロナに感染する」と言う事はありえません。ウイルスは自然発生ではなく、人が運び人が持ち込むものだからです。

 

なので「換気」の目的はあくまで同じ空間(職場や外食などに行ったとき)にウイルスを排出するキャリアがいた場合に、クラスターの発生する確率を下げることに有ると考えて良いでしょう。無症状でもウイルスを排出することが有るのが大変やっかいなのですが、やはり換気よりも、「ウイルスをそこに持ち込まない」と言うのが最も重要と考えます。

 

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