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英国でロックダウン/既存のワクチンがコロナウイルスに有効か

[2020.11.01]

先日、ドイツの友人のTobiからメールが来ました。ドイツでは1日辺り16000人の新型コロナウイルスの新規感染者があり、11月からロックダウン(都市封鎖)を1ヶ月行うとのメールでした。今日からは英国でもロックダウンの措置を再導入すると発表されました。期間はドイツと同様の約1カ月間で、生活必需品を扱う店以外は閉鎖され、飲食店は持ち帰り以外の営業ができなくなるようです。ただ、学校などは閉鎖されないようです。春先の日本での緊急事態宣言は経済に大きな影響が有ったのは記憶に新しいですが、ヨーロッパのロックダウンがどう影響してくるのか、心配です。

 

今現在、インフルエンザワクチン予防接種の期間になっていますが、以前ご紹介したように海外のデーターでインフルエンザワクチン接種者が多い所では、新型コロナウイルスの死亡率が低下していると発表されています。また、日本の研究者からも、BCG接種が新型コロナウイルスによる死亡率を下げている可能性が指摘されています。

 

また、イタリアからはインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種している人では新型コロナウイルスが陽性となるリスクの低下と関係していると発表されていました。

 

https://www.mdpi.com/2076-393X/8/3/471

 

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種は、新型コロナウイルスの陽性率低下と有意に関与していたとのことです(OR = 0.61, 95% CI 0.41–0.91; OR = 0.85, 95%CI 0.74–0.98; respectively)。

 

また、他の研究において、新型コロナウイルス感染と診断された137,037人の予防接種記録を分析し、過去1年、2年、5年におけるポリオ、インフルエンザ菌B型(Hib)、はしか-おたふく風邪(MMR)、水痘、肺炎球菌、インフルエンザ、およびA型肝炎、B型肝炎ワクチン接種が感染率低下と関与していたと報告しています。

 

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.07.27.20161976v2

 

これらの結果は、予防接種を受けている人においてはより感染管理に十分気をつけている可能性も考えられますが、ほかに様々なワクチン接種による免疫能の向上による感染防御が関与する可能性も示唆しています。

 

少し前になりますが、Science誌にはポリオの生ワクチンが新型コロナウイルス感染を予防できるかと言うような記事も出ていました。

 

https://science.sciencemag.org/content/368/6496/1187

 

生ワクチンは、不活化ワクチンと異なり実際に感染を起こすワクチンですので、インターフェロンをはじめとする、自然免疫能を誘発する物質によって、広範囲な感染防御能を誘導するのではと考えられています。実際これまで、ポリオ生ワクチンはインフルエンザウイルス罹患率も減少させたと報告されています。ポリオ生ワクチンは他のウイルス感染に対しても有効であるだけでなく、腫瘍免疫にも有用である可能性も考えられています。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2555836/

 

このポリオウイルスはコロナウイルスと同じで、プラス鎖RNAウイルスであることから、自然免疫を誘導することが期待されています。また、BCGより安全なワクチンである事も遊離であると述べられています。日本ではこれまで、特に年長の方は経口のポリオ生ワクチンを受けています。現在ではワクチンは不活化ワクチンになっています。日本へ導入する際は米国のソーク研究所の不活化ワクチンではなく、ソビエトの弱毒生ワクチンを導入↓経緯があります。

 

ポリオ弱毒生ワクチンが新型コロナウイルス感染防御に寄与するかどうかはまだエビデンスは無いと思われますが、今ある予防接種、特に今に時期はインフルエンザ、そして高齢者で受けていない方は肺炎球菌ワクチンを受けておくのは良いことではないかと考えます。

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