定期接種ワクチン、インフルエンザ、新型コロナに加えて帯状疱疹も
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38310018/
mRNA ワクチンは、RNA特有の細胞内での炎症反応が抑えれれているとはいえ、やはり発熱などの一定の副反応は認められています。ヌバキソピッドはRNAの炎症反応をスキップできるので、発熱などの副反応が少ないことが期待できます。
第一三共のダイナロチは他の mRNA ワクチンがスパイクタンパクの mRNA 全⻑を使⽤しているのに対して、スパイクタンパク質の受容体結合部位の塩基配列だけを⽤いています。スパイクタンパクの N 末端領域の感染増強効果を回避できる可能性が示唆されています。投与できるRNAの量が同じ容量でも多くなるので、中和抗体が高くなることが期待されています。実際中和抗体価の平均上昇倍率はコミナティの 1.46 倍、スパイクバックスの 1.77 倍と報告されています。ただ、スパイク蛋白には中和抗体のターゲット配列だけでなく、細胞性免疫のターゲットも存在すると思われるので、その辺を省いてしまうとどうなるのか、調べてほしいところです。
もう一種はMeiji Seika ファルマのコスタイベ、レプリコンタイプ(⾃⼰増幅型)のmRNA ワクチンです。細胞に取り込まれると細胞質内でワクチンの mRNA が⾃⼰のレプリカ―ゼで⼀時的に増幅されるため、少ない投与量でスパイクタンパク質が発現します。mRNAはスパイク蛋白(ウイルスの最外相の突起)のみなので、これで完全体のウイルス粒子ができることはありません。実際、通常のmRNAワクチンとコスタイベを比較すると、中和抗体は時間の経過とともに両者ともで低下したが、12ヵ月の追跡期間中に両者間の差は拡大し、従来のmRNAワクチンであるBNT162b2と比較して優れた初期免疫応答を示し、接種後12ヵ月まで持続することが、50歳以上を含む日本人成人において確認されたと報告されています。
https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(24)00615-7/fulltext
とはいえ、実際クリニックで使うとしたら、一人一人注射器に分注され、詰める手間が省けるのと、半端な人数分が余っても返品可能となっているファイザー社のワクチンに軍配が上がるのではないかと思われます。
さて、最近来年度から帯状疱疹ワクチンも公費化される予定があることが報道されています。帯状疱疹ワクチンは以前から定期接種化が検討されていました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001336258.pdf
帯状疱疹ワクチンには、従来使用されていた生ワクチンと組み換えワクチンがあります。直接比較した研究はありませんが、組み換えワクチンは10年後の発症予防効果は70%以上あり、生ワクチンよりも高い予防効果を示していると考えられています。ただ、問題は価格で、組み換えワクチンは2回接種が必要で4万円以上かかってしまいます。現時点でいくつかの自治体では半額分補助となっているとこともありますが、今後定期接種化された場合どうなるのかというところです。厚労省の報告では、安価な生ワクチンは費用対効果が良好とされていますが、組み換えワクチンに対しても中立的な立場での評価が必要としています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165467.pdf
今後の発表が待たれるところです。