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ロシア、英国で新型コロナワクチン開始

[2020.12.06]

新型コロナウイルスに対するワクチン、スプートニクVがロシアで大規模接種が開始されたようです。そして、続けて英国でもファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種が8日から始まることになったようです。

接種は、80歳以上の高齢者や高齢者施設の介護職員、一部の医療従事者が優先されるとのことです。

ファイザー社のワクチンは-70℃での保存が必要とのことなので、ワクチンを保存できる施設はかなり限られそうです。-70℃での保存となるといわゆるディープフリーザーが必要ですが、大学のような研究施設では日常的に使用しています。私が大学で研究をしていたときには、癌細胞やRNA、ヘルペスやサイトメガロなどのウイルスの保存に使用していました。これらのものは通常の冷凍庫、-20℃程度ではすぐに死滅してしまったり、活性が落ちたりして使い物にならなくなってしまいます。RNAは場合によっては-20℃で保存するものもありましたが、重要な物は-80℃保存でした。ファイザー社のワクチンに比較してモデルナ

者のワクチンは-20℃のようなので、こちらの方が扱いやすいでしょう。ただ、いずれにせよ、ワクチンを運ぶときにはドライアイスが必要と思われます。

ワクチンが開始されたら、我々の安心感は増すと思われますが、輸送と保存の問題は解決しないとならなそうです。

 

先日、横浜市立大学から新型コロナウイルスに感染し、回復した376人の98%が、「中和抗体」を半年後も保有していたとする研究結果が発表されました。この中和抗体は新型コロナウイルスのスパイク蛋白に特異的抗体ですので、この抗体があると言う事は、感染防御に有効です。全く感染しないと言う事は無いかも知れませんが、感染しても重症化を抑制できる効果は期待できるでしょう。

 

この中和抗体を人工的に作ろうと言うのがワクチンです。モデルナ者のRNAワクチンは接種119日に全例で中和抗体が検出されたとの事です。

 

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2032195

 

このワクチンによる中和活性は119日目まで、多少下がる人もいるようですが、大方持続して有るように思われます。ワクチンで誘導されるのは主に液性免疫=抗体であり、先の報道にあった、既感染者においては液性免疫だけではなく、細胞性免疫のメモリー細胞もできていると考えられます。つまり、ウイルスを中和する抗体だけで無く、ウイルス感染細胞を死滅させる細胞障害性T細胞も作成されていると考えられます。この細胞性免疫は麻疹や風疹のワクチン=弱毒生ワクチン出あれば誘導されますが、RNAワクチンではどうなるのか、興味深いところです。

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