新型コロナウイルス感染症 ~水際対策から感染蔓延期に向けて~ 日本感染症学会
本日も福テレでインタビュー受けました。感染が蔓延したときの一般クリニックでの戸惑いというのがテーマの放送でした。確かに、当院のようなクリニック(泌尿器科皮膚科メイン)での対応面という意味では、通常の呼吸器感染を診察するのにも、設備的に難しい状況です。これはハード面の問題で、クリニックの広さや入り口の数などがネックになってしまいます。医大同級生の小児科クリニックなどでは、ワクチン用の入り口と通常の風邪のお子さんの入り口が分かれている所も多く、良い設備だなと思ったことも有りました。
蔓延期における共有すべき情報として、日本感染症学会のものが、大変よくまとまっておりました。現時点ではこれ以上のことは言えないと思います。
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_mizugiwa_200221.pdf
簡単にまとめますと、まず一般の方に対しては
1.特に1週間目においても発熱が続く場合、息が苦しい、呼吸器症状が悪化する、などを認めた場合には肺炎の合併が疑われルため、すぐに帰国者・接触者相談センターに相談する。
→指定された施設での診察となります。一般のクリニックに行くことは感染を蔓延させる原因となります。
2.多くは軽症であり、1週間程度で症状が軽快しそうなら、特に治療の必要はなく、自宅で安静。家でもマスク、手洗い。
→マスク、まめな手洗いは医療従事者も守っている標準予防策にあたります。
3.高齢者・基礎疾患を有する人は外出を控える、人込みに行かない。
→インフルエンザの流行期と同じです。
と言った所でしょうか。
特に、受診行動の欄では
「37.5°C以上の発熱、咳、倦怠感などに加え、呼吸苦、息切れの症状がある場合や37.5°C以上の発熱、咳、倦怠感などの症状が、1週間以上持続する場合は、帰国者・接触者相談センターなどに相談してから病院(一般外来で受診せず、帰国者接触者外来)を受診しましょう。この時、マスクを着用し公共交通機関の利用は避けましょう。」
となっています。まずは帰国者・接触者相談センターに相談し、むやみに感染を蔓延させないようにするのは重要です。
次に医療者側への記述ですが、これも一般の方も是非知っておくべきことが多いと思いました。
1.軽症例はインフルエンザ外来に準じた対応を行う。対症療法のあとは自宅安静を指示する。
→軽症例は特にやることが無いので、混乱をさけるため自宅安静が良いと思われます。
2.重症例を見逃さない。しかし、通常のレントゲンではわからず、CTで初めて肺炎像が確認された例も確認されている。ウイルス感染を疑う画像かどうかは感染症専門医、呼吸器専門医、放射線科専門医と相談することとなっています。
→CTなどの無い通常のクリニックでの鑑別診断が困難であることが予想されます。
3.遺伝子検査は、“入院が必要な肺炎例でウイルス性肺炎を疑う場合”に実施する。
→遺伝子検査は特別な機関でしか出来ない検査です。「心配だから検査して欲しい」というかたもいらっしゃるかも知れませんが、このケースでは検査することに当らないことになります。本日、国会で、野党が「なぜ、3000例出来るのに十分活用していないんだ」と言うような発言があったと思いますが、もしかしたら、遺伝子検査をしなければならないような疑い症例が3000例出ていないのかも知れません。
4,特異的な治療法はない。
→現時点ではこれが一番問題で、治療薬がないので、治癒が期待される軽症例では遺伝子検査をしても、混乱をきたすだけであると考えられます。
現時点では不要な外出を控え、医療者だけで無く、皆が標準予防策、飛沫感染予防策・接触感染予防策の徹底をすることで蔓延を防ぐ以外無い状態でしょうか。