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新型コロナウイルス:中国武漢

[2020.01.13]

中国の武漢市で新型コロナウイルスによる肺炎患者が発生しているというニュースが流れてきています。昨日の新聞では1名の死亡者が出たとのことでした。この、コロナウイルスですが、RNAウイルスで、電子顕微鏡での見た目から、王冠のCrownや太陽のコロナに似ていることからコロナウイルスと名付けられています。

 

新型コロナウイルスによる感染症は初めてでは無くて、これまでも重症急性呼吸器症候群コロナウイルスSARSや中東呼吸器症候群コロナウイルスMERSなどの感染症が記憶に新しいところです。特にSARSが流行していた頃には、日本もちょっとした混乱がおき、空港でサーモグラフィーによる調査なども行われていたりしていました。それでも、母国でSARS患者を扱っていた医療関係者の入国などは有ったようですが、日本での発症は無かったと記憶しています。そのころは、母校の大学病院でもSARSの患者が来たらどうするかという会議が行われており、検査機器は微生物学講座のP3レベル(物理的封じ込めのレベル)の実験室に入っている機械を用いることになったと記憶しています。

 

そして、このSARSもMERSも感染症法の2類感染症に分類されることとなりました。感染症法では報告が義務づけられる感染症が1類~5類に分類されており、1類には少し前にアフリカでの発生が世界的に話題になったエボラ出血熱をはじめとする凶悪な感染症が入っています。SARSとMERSは2類感染症に分類されており、感染症が確認されたらただちに報告しなければなりません。

 

今回の武漢のコロナウイルスは今のところ、ヒトーヒト感染が報告されておらず、1名が亡くなったとは言え、致死率は低そうで、感染症法には入ってこないかも知れません。そもそも、コロナウイルスの中には、ヒトに日常的に感染するウイルスが知られており、風邪の10~15%、流行期には35%はコロナウイルスを原因とすると考えられています。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験するとされており、そんなに珍しいウイルスではありません。ただ、コロナウイルスには動物に感染するものがありSARSはもともとコウモリに感染するコロナウイルス、MERSはらくだに感染するコロナウイルスだったと考えられています。

 

コロナウイルスとは関係ないですが、母校の福島県立医大では武漢大学からの留学生を受け入れています。泌尿器科にもこれまでに何人か来て、お相手したことも有りますが、皆とても個性的な人達ばかりでした。何年か前にいた女の子はとてもアクティブで、大学でも頑張っていましたが、休みの日には中国で人気のアニメ、スラムダンクのモデルとなった学校など「聖地巡礼」をしてきたと、とてもうれしそうに話してくれたことが記憶に残っています。いまでも、医局後輩の女医さんと交流を続けているはずです。そういう交流はとても大切だと思っています。

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