石橋医院 郡山市駅前 泌尿器科・皮膚科・腎臓内科
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今後の新型コロナワクチンの接種の方針について

[2023.02.08]

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会から、今後のコロナワクチンの方針について発表がありました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001055081.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001055044.pdf

 

新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行する事が濃厚ですが、これまでの2類相当に比較して、療養や隔離はこれまでのようではなくなりますので、ある程度感染が広がってくるのはやむを得ないという前提が有ります。なので、今後のワクチンの方針としては、感染をなくすことではなく、重症者を減らすことを目的として、行う事となるようです。

 

資料にありますが、重症化予防効果は接種後6ヶ月以上、死亡予防効果は接種後10ヶ月以上持続すると考えられ、重症化予防効果等に寄与する免疫記憶は、より長期に、1年程度は継続すると考えられており、逆に言うとそれ以降は効果が持続しない事も考え得るので

高齢者には今年の秋冬またはそれより前にワクチン接種が行われるようになるようです。

 

英国のデーターベース解析の結果によると、ワクチン未接種者における新型コロナウイルス感染症の心血管疾患発症リスクや全死亡リスクに及ぼす短期的および長期的な影響についての報告で、全死亡リスクを大きく上昇させることが報告されています。

https://academic.oup.com/cardiovascres/advance-article/doi/10.1093/cvr/cvac195/6987834

 

血管内皮には新型コロナウイルスの受容体は多く発現されているので、心血管系に大きな影響を及ぼすことが予想されますが、重症化率、死亡率予防にはやはり2価ブースターワクチンが有効価と考えます。最近報告された2価ワクチンの追加接種の効果として、入院または死亡に至る重症感染症に対するワクチン有効性は、1 価ブースター投与で 24.9%、 2 価ブースター投与で 61.8%となっています。2価ワクチンのほうがかなり追加効果を発揮している印象です。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2215471?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

 

一方、この2価ワクチン追加接種によって中和抗体価は上昇するも、T細胞応答は実質的に増大しないことが示されております。たとえばBA.5に対するCD8+T細胞応答は、1価ワクチンの追加接種で0.027%から0.048%(1.8倍)に、2価ワクチンの追加接種で0.024%から0.046%(1.9倍)に増加、CD4+T細胞応答は、1価ワクチンの追加接種で0.060%から0.130%(2.1倍)に、2価ワクチンの追加接種で0.051%から0.072%(1.4倍)にとどまっています。これらの結果は過去の抗原曝露による免疫の刷り込みの影響が示唆されています。また、BA.5に対するメモリーB細胞応答は、1価ワクチンの追加接種で0.079%、2価ワクチンの追加接種で0.091%でした、

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2213948?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

 

刷り込みについては、従来株への免疫の刷り込みがあると、変異株に特異的な中和抗体が誘導されづらくなると考えられているのですが、これについては今後の流行株の解析結果などから適宜判断しつつ、ワクチン株を考えていくことが必要となりそうです。

 

しかしながら、思い起こせば、まだワクチンがない頃、米国では新型コロナウイルス感染による死亡率が高く、2020年の平均寿命が下がるというところまで来ていました。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/08/2344807bd3649958.html

 

そのころ日本では緊急事態宣言など発出し、人流を抑制しつつ、感染拡大を抑制していました。そのため経済活動は大きな打撃を受けました。今はウイルス株の変異とともにワクチンも有り、重症化率死亡率を大きく低下させています。まもなくコロナ前の生活にほとんど戻る感じでは有りますが、新型コロナは流行の周期がはっきりしないので、定期ワクチンで免疫をキープしておくのがよいかと考えます。

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