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増加する新型コロナ

[2020.03.29]

3月29日、東京都で新型コロナウイルスの感染者が新たに68人確認されたとのことでした。感染者が多くなってきているのが心配です。このうち、院内感染の疑いがある同じ病院の関係者が27人で、同病院に関係する感染者は計96人に上るとのことでした。院内感染でここまでの発症があるのは、今後の医療状況の悪化が懸念されるところでしょう。

 

病院は、患者が密に集まってしまう場所です。そのため外来においても、十分な配慮が出来る施設で診察しなければならないこととなります。先日の時事メディカルに、急性期病院の診察フローがわかりやすく書いてありました(研修医・渡邉昂汰先生)。簡単に書きますと、

 

〔1〕他の患者さんとの接触を避けるため、特別なルートから病院へ入り、陰圧室で待機。(陰圧なのは空気の流れが外に出ないようにして他の患者さんや医療スタッフへの二次感染を防止する)。

〔2〕医師や看護師がガウンやゴーグルそして特殊なマスクをして、陰圧室で診察。

〔3〕CTなど部屋の移動を伴う検査が必要な場合は、検査が終わるまで、移動ルート上にいる医療者や患者さんを一度退避

〔4〕検査後には十分な換気。患者さんが触れたものは全て消毒

〔5〕検査結果からPCR検査が必要と判断されたら、保健所に検査を要請。

 

となっています。

 

https://medical.jiji.com/topics/1595

 

非常にわかりやすく書いてありましたが、読んでわかりますように、一般の患者さんとは導線を完全に分けて、決して感染防御の十分でない他の患者さんや医療関係者と接触しないようにしています。ここまでやらないと、十分防御出来ないと言う事です。

 

時々、一般クリニックや一般医療機関に、咳があったり熱があったりするから、コロナが心配だから受診したい、という問い合わせがあるようですが、実際に発熱患者を診る場合はこのような設備、対策が出来る施設で無いと院内感染の危険性が高くなってしまい危険です。帰国者・相談者センターに先ず電話してくださいというのは、そういった事を極力避けていただくためです。

 

まずは感染者の増加を極力抑制し、ワクチン開発や抗コロナウイルス薬を選んで行かなければなりません。先日の安倍首相のお話では、既にアビガンなど4つの薬で観察研究としての投与を開始しており、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての正式承認に向け、治験プロセスを開始する考えを示しました。また最近では膵炎治療薬のフサンも候補薬剤として上がっています。安全性と効果が確認され、臨床的に有用な薬剤が見いだされることを願うばかりです。

 

またワクチンの開発も急ピッチで進められています。先日は新型コロナウイルスに対するワクチンを開発している米モデルナは、早ければ今秋にも医療従事者向けにワクチンを供給したい考えを明らかにしました。開発中の新型コロナ向けワクチンはメッセンジャーRNAをプラットフォームとしており「mRNA-1273」と呼ばれ、コロナウイルスのスパイク蛋白をターゲットとしています。人の細胞にスパイク蛋白を発現させ、これに対して免疫を作らせるという方法のようです。動物モデルでは有用であったようです。第1相試験ではmRNA-1273 を25, 100, 250 μgで投与し、安全性などを確認します。4週あけて2回目の投与となるようです。同社ではもともと、SARSやMERSの時に研究を開始していたため、速いスピードでここまで持ってこれたようです。

First coronavirus vaccine clinical trial starts

 

有効な抗ウイルス薬とワクチンの開発が可及的早急に臨床応用されるようになることを願っています。それまでは、先ず出来ることとしては人との接触を控え、石けんを使った手洗いの励行です。何度洗っても良いです。医療の現場では、一処置一手袋+手洗いが基本と習っています。また、無症状でウイルスを排出することが感染を拡大しているのであれば、極端な話、もはや全員がマスクをしなければならないかも知れません。こちらの増産も急ピッチだと思いますが関係者の頑張りに期待します。

 

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