石橋医院
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新型コロナ「5類」引き下げ本格検討

[2022.11.27]

新型コロナウイルス感染証を感染症法の5類に変更する事が検討されているようです。現在は「新型インフルエンザ等感染症」の部類に入っており、自宅療養や就業制限・入院勧告ができる代わりに、治療に関する費用は公費となっております。感染症法5類に分類されると、いわゆる季節性インフルエンザと同じ扱いで、感染後の措置は特に無い代わりに、治療や予防接種も費用がかかるようになるでしょう。予防接種についてはインフルエンザのように高齢者には補助がでるが、若い人は自費になることも十分考えられます。そうなったときのワクチン接種率の低下が、どのように影響するのか、また、変異株が出てきたときにこれまでのRNAワクチンを継続するのか、それとも組み替え蛋白ワクチンにした方が良いかなど、考えなくてはいけないことがたくさんありそうです。

 

ワクチンについてはやはり多くの人が接種しておくことが重要です。先日JAMAに掲載された論文では、ワクチン接種率とコロナ関連死亡率を検討しています。この研究では米国、ワクチン接種率が最も高い州と最も低い州の 10 州、 OECD)加盟国 20 か国のデルタ波とオミクロン波の間の、COVID-19 と全死因超過死亡率を比較しています。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2798990

 

論文にあるTable1を見てみると ワクチン接種率とデルタ波+オミクロン波での10万人あたりの死亡数は

 

ニュージーランド:75% 3.7人

日本:80% 10.4人  

韓国:82% 24.3人

オーストラリア76% 19.2人  

と低くなっています。

 

一方、

スペイン:80% 44.5人

カナダ:77% 30.4人

フランス:74% 42.2人

ドイツ:71% 52.3人

英国:71% 59人

 

と、接種率70%以上ですが、死亡数は日本の3~6倍近くになっています。

 

アメリカでの接種率が高い10州と低い10州において

高い10州:73%  74.7人

低い10州:52% 146人

 

となっています。

こうしてみると、ニュージーランドと日本の死亡率の低さは注目で、今の政策が功を奏している可能性が高いです。また、感染病棟などにおける医療従事者の頑張りも大きく寄与していると想像できます。

 

米国では死亡率が他の国より高めですが、ワクチン接種率が高いと死亡数も減少しています。米国での研究結果で、ワクチン接種率の 10% の改善は、死亡率の 8% の減少と発生率の 7%の減少に関連していると報告されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35477670/

 

ニュージーランドでは感染者が少なく、9月下旬~10月頃にはマスク着用が緩和されています。

https://www.bbc.com/japanese/54275416

マスクの着用については、ニュージーランドでの死亡数を目安にするか、それともその他の国と同様の考えで行くかなどは議論が必要かも知れません。ただ、マスク着用の効果についての米国での学校においての研究では、マスク着用要請を解除した学区においては、マスク着用要請を継続した学区に比べ、生徒と職員のCOVID-19罹患率が1,000人当たり44.9人多かったと報告されています。そのため、今回の調査結果は、地域社会で感染者数が多い時期に、高品質マスク着用は、COVID-19の感染拡大と登校日の減少を最小限に抑えるための重要な戦略であると述べています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36351262/

 

今後の感染状況、死亡率の変化など見ながら、今後の方策が決まって行くと思われます。

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