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日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて

[2020.08.20]

8月19日~21日まで第94回 日本感染症学会学術講演会が東京で開催されています。今回の学会は、WEBとのハイブリッドで行われています。通常、大きな学会の総会ですと、参加者は数千人になるので、かなりの大人数が一カ所に集まることとなります。人気のセッションになると会場は立ち見も出るくらいになる事もあるので、完全に三密になります。なのでWEB併用での開催は良いと思いますし、今の状況で、しかも東京再々ではもっと思い切ってWEBのみでも良かったのではと考えます。

 

先日、日本感染症学会から「今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて」という提言が出されました。

 

http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2008_teigen_influenza_covid19.pdf

 

毎年、冬になるとインフルエンザウイルス感染の流行が見られます。インフルエンザウイルスはもともと、シベリア、アラスカ、カナダなどの北極圏近くで、凍土のなかから見つかります。このウイルスは、水鳥の体内に存在し、冬になると、渡り鳥と共に運ばれてくると考えられています。

 

なので、毎年10月頃から、インフルエンザに対する予防接種を行い、備えているというわけです。しかし、今年は様相が異なっており、いまだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が認められ、この冬、どのような状況になるのか予測できないでいます。

この冬、COVID-19の流行と、インフルエンザウイルスの流行が重なったときどうするか、注意する必要があります。

 

提言のなかでも述べられていますが、インフルエンザ感染症も新型コロナウイルス感染症も発熱や咳嗽、頭痛などの症状が認められ、実際の外来診療の場においては、確定患者と明らかな接触があった場合や、特徴的な症状(インフルエンザにおける突然の高熱発症、COVID-19 における味覚障害や嗅覚障害など)がない場合、臨床症状のみで両者を鑑別することは困難です。また、OVID-19 とインフルエンザとの合併も報告されるようになり、インフルエンザとの混合感染は、COVID-19 による入院患者の 4.3-49.5%に認められているとのことです。

 

そこで提言によれば、診断についてはCOVID-19 の流行がみられる場合には、インフルエンザが強く疑われる場合を除いて、可及的に両方の検査を行うことを推奨するとのことです。(ただ、SARS-CoV-2 の検査の供給は限られるので、流行状況により、先にインフルエンザの検査を行い、陽性であればインフルエンザの治療を行って経過を見ることも考えられるとのことです。)しかし、検査の際には、個人防護具の装着はもちろんのこと、交差感染を防止するために、時間的、空間的に隔離して検査を行うことが薦められます。つまりは通常の患者さんと、動線を分けることが出来、隔離され換気の出来る検査室、待合室の有る施設で行う事が必要になるのではと予想されます。特にCOVID-19診断に関しては抗原迅速診断キットを使用した際、結果が出るまでには 30 分かかります。その間、感染伝播が起こらないように患者の滞在場所を考慮することが必要になります。冬までに、各自治体でこの様なシステムを用意するのが大切になってくるのではないかと考えます。

 

さて、治療についてですが、インフルエンザウイルス感染でしたら、タミフル、ゾフルーザなどすでに使用されていますので問題ないでしょう。もし、アビガンの新型コロナウイルス感染症に対する有用生が出ていたら状況は変わっていたかも知れません。アビガンは元々適応が「新型又は再興型インフルエンザ感染症(ただし,他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」とされています。もし、新型コロナウイルス感染症にも効果があり、さらに通常のインフルエンザウイルス感染症にも適用が広がるなら、今年に限っての話かも知れませんが、アビガン一択でどちらの感染症の可能性があっても治療可能になります。臨床の現場では大助かりです。まあでも、そんな事になったらアビガンの大量消費になってしまうし、有害事象も出てきそうですし、そうはならない可能性が高いですね。

 

まず、個人が出来る感染予防策(マスク、手洗いなど)の継続と、インフルエンザに対してワクチン接種はしておきたいところです。

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