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NEJM:ブースターワクチンのオミクロン株に対する効果、厚労省:オミクロン株による死亡率はインフルより高い

[2022.03.09]

現在3回目のブースターワクチン接種が進んできていますが、多くの人に行き渡るにはもう少しかかりそうです。ただ今回は、1回の追加接種ですので、最初のワクチンよりは早めに進むことと思います。いまだオミクロン株の流行は収まる気配が見られないのですが、理由として考えられるのは、最初のワクチンの効果が落ちてきていることや、ワクチンを接種していない子供にも感染がひろがっていることが考えられます。

 

3月2日にNEJMにブースターワクチンのオミクロン株に対する効果が正式に発表されていました。これはすでにネットには発表されていた英国での解析データを正式に論文化したものです。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2119451

 

この論文によると、2021年11月27日から2022年1月12日までの間に、886,774人のオミクロン株の感染者、204,154人のデルタ株への感染者が同定され、解析されています。結果としてワクチンの効果はオミクロン株に対してよりもデルタ株に対しての方が高衣結果でした。オミクロン株に対しての効果はファイザーワクチンBNT162b2プライマリーコース(2回ワクチン)完遂した者では、ワクチン有効性はブースター後2〜4週間で67.2%、その後10週間以上で45.7%に低下したとのことです。また。ファイザーBNT162b2プライマリーコースの後、モデルナmRNA-1273ブースターでは2〜4週間でワクチン有効性は73.9%に増加、その後5〜9週間で64.4%に低下したとのことです。10週以上の後はまだデータが解析されていません。

結果としてブースターワクチンはオミクロン株に対して一定の効果は出ますが、時間と共に低下して行くようです。

 

mRNAワクチンの効果は時間と共に低下して行くため、他の論文では時間経過によるワクチン効果の減衰の方が、変異株によるワクチン効果の減衰よりも影響が大きいことを指摘しています。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2789294

いずれにせよ、ワクチンの効果をまた上げるにはブースターが重要ではあることは間違いないのだと考えます。

 

最近の厚労省のアドバイザリーボードで、比較的軽症者が多いとされるオミクロン株でも、致死率は季節性インフルエンザよりも高いと考えられる、という暫定的な見解を示しました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000906081.pdf

 

一般的な比較は困難である事を述べつつ、2017 年 9 月から 2020 年 8 月の 3 年間に季節性インフルエンザで医療機関を受診した患者数を分母とし、受診後 28 日以内に死亡した数を分子とすると、症例致命率は 0.09%と推計されたとのことです。一方、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症については、全国での 2022 年 1月 1 日からの累積死亡者数と累積陽性者に対する死亡者の比率では、2 月 21 日現在、約 0.13%程度とのことです。

2020 年 1 月から 2021 年 10 月までの症例致命率は4.25%であったことから、オミクロン株の致死率はかなり下がっていますが、インフルエンザよりは高いのでやはり注意は必要です。感染者数が増えてくると、この数字も変化してくる可能性が有ります。高齢者や基礎疾患のある方はやはりブースター接種をしておくのが安心かと思われます。

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