イベルメクチン、来るか?
新型コロナウイルス感染に対してワクチン投与が他国でははじまっていますが、抗ウイルス薬として期待されていたアビガンは承認には至っていません。ワクチンは、投与によって中和抗体を誘導し、種類によっては細胞性免疫も誘導することで抗ウイルス防御能を獲得し、ウイルス侵入、増殖を阻止します。一方、抗ウイルス薬は、ウイルス感染してしまった場合に、ウイルスの増殖を抑制するために用います。火事に強い建物を建てようとして、耐火性の強い素材を用いて作ったり、警報装置を設置したりするだけでなく、万一発生したときに火消しとなるスプリンクラーもあった方が良いですね。これからワクチンが普及するでしょうが、有効な火消し役である抗ウイルス薬もあればいっそう安心かと思います。
北里大学大村智記念研究所感染制御研究センターが、抗寄生虫薬「イベルメクチン」の臨床試験を2021年3月に終了し、製造元の米製薬大手MSDに試験結果を提供することが報道されていました。
これまでも北里大学、北里研究所では新型コロナウイルスに対する研究を進めています。NITEの消毒薬の研究の一部も北里研究所で行われていたのは記憶に新しいところです。日本中が、アルコールでないと消毒できないと勘違いしていたときに重要な情報となっていました。
https://kitasato-infection-control.info/
イベルメクチンが新型コロナウイルスに対して有効である事が予想されるのに、「イベルメクチンは,広く使用されている地域において,致死率の著しい減少をきたす。」という事が上げられていました。見ると、ペルーにおいて、イベルメクチンを大量配布した州としなかった州でCOVID19による死亡数が、配布した州において大きく減少していると言うものもありました。おもしろい。
https://kitasato-infection-control.info/swfu/d/ivermectin_20201218_4.pdf
恐らく薬として認められるにはランダム化の比較試験が行われないといけないですが、イベルメクチンの治験も数多く行われているようでした。そしてこれらの研究のメタアナリシスでは、イベルメクチンは新型コロナウイルスに有効であると結論づけられています。特にEarly treatment早期の治療が有効のようです。また、予防投与も有効であると記載されています。
https://ivmmeta.com/#revisions
もし、この様な使用法で新型コロナウイルスに対しての使用が認められたら非常に先が明るいでしょう。PCR陽性となった場合、早急にイベルメクチンを投与する戦略が考えられ、重症化を抑制することができる可能性が高いと思われます。
FLCCC Front Line COVID-19 Critical Care Alliance というチームもイベルメクチンの有用生を認めており、I-Mask +と呼ばれるCOVID-19の予防的および早期外来併用療法プロトコルを公開し、実際彼らは新型コロナウイルス感染のすべての段階で予防と治療にイベルメクチンを使用するようになったと述べています。
https://covid19criticalcare.com/
ワクチンと同様、慎重にかつ早急に進んで行くことが期待されます。