メニュー

3回目ワクチン接種はオミクロン株に有効

[2022.01.30]

2月からは本格的に新型コロナワクチン3回目が始まると思われます。オミクロン株による新型コロナウイルス感染者数が増えてきていますので、接種券が届いたら、すみやかに3回目を接種するのが良いと思われます。ときどき患者さんから、「今外出するのは怖いから、オミクロンの感染がおさまって患者が少なくなったら接種に行きたいです。」と言うようなお話を伺います。気持ちは理解できるのですが、これではなんか、本末転倒の感がぬぐえません。感染予防のためのマスク、手洗い、換気を徹底しつつ、3回目ワクチンを早めに受けてしまうのがいいと思われます。

 

実際3回のワクチンはオミクロン株に対する中和能を上昇させると、Cellに掲載されています。

https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S0092-8674%2821%2901496-3

 

この論文では、モデルナ社ワクチン、ファイザー社のワクチン、J&J社のアデノウイルスベクターのワクチンを接種した人を対象に、中和活性を検証しています。この結果の中でオミクロン株に注目してみると、2回接種のみでは野生株に対する中和抗体価と比べたオミクロン株に対する中和抗体価はmRNA-1273(モデルナ)で43倍、BNT162b2(ファイザー)で122倍低いことがわかりました。

しかしながら、このオミクロン株に対する中和能はブースター接種によってmRNA-1273で19倍、BNT162b2で27倍と大幅に上昇していることも明らかとなりました。この中和能は、野生型に対する中和能よりは4~6倍、若干低いのですが、中和能は3回目接種で明らかに高くなるようです。この結果は3回目接種ブースターワクチンにより、オミクロンなどのSARS-CoV-2変異株に対する体液性免疫・交差反応性が広がることを示しているとされています。

mRNA-1273 =モデルナ社、BNT162b=ファイザー社です

 

この研究では3回目接種は、1回目2回目と同じワクチンを接種しています。交差接種のデーターはまだはっきりしていませんが、いずれにせよ同じ種類のワクチンで、オミクロン株に対する中和活性が上がります。同じ種類がよいのか、交差接種が良いのかはまずは置いておいて、いま接種できるワクチンをうっておくのが良いように思われます。

もともとこのmRNAワクチンは野生株(最初の株)の遺伝子塩基配列をもとに作られています。オミクロン株は遺伝子配列がかなり変わってきているので、理論的にオミクロンに対応した抗体はできにくそうなのですが、3回接種でオミクロン株を抗体で中和する能力が上昇すると言うのは面白いところです。

ただ、イスラエルでは4回目接種でも完全にはオミクロン株を防げないようだとも報道されています。本当にオミクロン株に対して有効なワクチンは、やはりオミクロンの遺伝子配列を用いたRNAワクチンと言うこととなるでしょう。このワクチンは、インフルエンザワクチンと異なってウイルスそのものは必要でない、いわゆる工業製品なので、かなり早く市場に出てくるかも知れません。その有効性のエビデンスやそのときの感染状況などから、判断していくこととなると思われます。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME