4回目「セカンドブースター」ワクチンの有効性
現在3回目ワクチン接種が進められているところですが、最近では対象が高齢者から若い方に移行しつつ有ります。そのためか、ワクチンの接種予約のスピードが遅くなってきているようです。そうしているうちに、4回目ワクチンの話が出てきています。今後のワクチンの予定がどのように進められていくか、そして感染率がどのように変わっていくか見ていかなくてはなりません。
イスラエルではすでに2022年1月2日から4回目の接種が施行されています。この4回目ワクチンの効果が論文として公開されています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201570?query=featured_coronavirus
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201688?query=featured_coronavirus
1報目はB.1.1.529オミクロン株が優勢の2022年1月10日から3月2日までに感染と重症の割合を、3回の投与のみを受けた人4回受けた人と比較しています。その結果、10万人日あたりの重症Covid-19の症例数は、4回投与群で1.5人、3回投与群で3.9人、内部コントロール群(3〜7日前に4回目の投与を受けた人)で4.2人で、4回目の投与を受けてから4週間目の重症化率は、3回投与群より3.5倍低く、内部コントロールよりも2.3倍低かったとのことです。重度化予防については、4回目の投与を受けてから6週間は低下することはかなったとのことです。 10万人日あたりの感染確認者数は、4回投与群で177人、3回投与群で361人、内部コントロール群で388人、4回目の投与を受けてから4週間目に確認された感染率は、3回投与群よりも2.0倍低く内部コントロール群のそれより1.8倍低かったようです。ただし、この予防効果は数週間で減弱しました。
結論としては感染率、重症化率とも4回目の投与後の方が3回の投与後よりも低く、感染防御力は長く続かないようではあるが重篤な病気に対する防御は研究期間中には減弱しなかったとしています。
2報目の論文では、2022年1月3日から2月18日までイスラエルの医療機関によって記録されたデータ分析で、1報目よりやや期間が短くなってますが、同じく60歳以上の人を対象にした解析です。その結果、4回目の投与後7〜30日でのワクチン有効性は、PCRで確認されたCOVID19感染に対しては45%、症状のあるCOVID19に対しては55%、COVID19関連の入院に対して68%、重症COVID19に対して62%、およびCovid-19関連死に対して74%の効果でした。
3回目だけとの比較で入院率の差は10万人あたり180人、重症化では10万人あたり68.8人の差とのことです。
結果としてワクチンの4回目の接種は、少なくとも4か月前に3回目の接種を受けた人のCOVID19関連転帰(重症化、入院)リスクを軽減するのに効果的とのことです。
いずれの論文も60歳以上の人に対しての効果ですが、4回目接種は、短期的には感染率を下げ、また重症化率も避ける効果がありそうです。
これをふまえてか、米国CDCでは4回目ブースターsecond boosterを50歳以上の方に推奨しています。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/booster-shot.html
セカンドブースターは「50歳以上で少なくとも3回目ブースター接種から4ヶ月経ってから」とされています。
日本でのワクチン政策は米国を見習うことが多いので、3回目ワクチン接種から4ヶ月目からで50歳以上にとなっていくのではと予想されます。となると、もうこの5~6月には対象者が出てくることとなります。