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院長ブログ

今はワクチン。抗ウイルス薬はもう少し先か(2021.09.12更新)

日本のワクチン接種率はだいぶ上がってきています。11月末頃にはワクチンパスポート接種証明の発行や行動制限の可能性も言及されるようになりました。海外ではすでに接種証明の提示が飲食店や映画館などに入る際に義務づけられている所もあるようです。

観光が主な収入源である米国のハワイ州でも屋内施設の利用者に対しワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の提示を求めると発表されました。対象施設はレストランなどの屋内飲食店(屋内に飲食スペースを常設しているフードコートを含む)、屋内プール、フィットネスジム、ダンススタジオ、映画館、劇場、美術館、博物館、水族館、動物園、植物園、ゲームセンター、ボウリング場、ビリヤード場などの遊戯施設、ボートツアー、ゴーカート、ミニゴルフ場、射撃場などのレジャー施設で、対象施設を利用する人はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が発行したワクチン接種証明書、または48時間以内に行った新型コロナウイルス検査による陰性証明書と顔写真付きの身分証明書の提示も必要となるようです。

https://esta-center.com/news/detail/021900.html

日本でもイベント開催や県をまたぐ往来など、経済活動が徐々に再開されてくるかも知れません。しかしながら、感染予防策が必要ないと言うことではありません。

 

現在、日本でのワクチン接種状況も2回接種した人は50%に達し、少なくとも一回撃った人についても62%と米国に並んでいます。しかしながら、新規感染者数は米国のそれと比べて日本はまだ低く抑えられています。接収率が同じでもと感染者に明らかな違いが出てきており解釈が難しいですが、マスク着用率や経済活動の多さが関与しているかも知れません。接種率が日本より高いイギリスの感染者数も高く、やはり感染予防策の継続は重要と考えます。

 

今の時点で、若い人達への接種も進められてきていますが、中にはやはりワクチンは打ちたくないという人もいるようです。その人達の中には、抗ウイルス薬が出るのを待っているからという理由も聞かれる事がありました。確かにインフルエンザのように、効果のある抗ウイルス薬が存在していたら、かなりの安心感はうまれると思いまし、多くの人が欲するのも理解できます。そのため、昨年パンデミックがおこったとき、アビガンやイベルメクチンの臨床応用が熱望されたのは記憶に新しいところです。昨年の時点ではワクチンも実用化されておらず、治療方が確立されていなかったので不安が大きく、一刻も早い治療法が出てくるのを待っていた所でした。むろん一から抗ウイルス薬を開発するのは、まず候補の分子を見つけるところから始めなくてはならないので、非常に多くの労力と時間がかかります。そのため、これまで別の用途で使われていた薬を新型コロナ感染症に利用できないか、いわゆるドラッグリポジショニングと言う形で模索が始まっていた所です。たとえばアビガンは元は新型インフルエンザ用に開発されていた薬でした。この薬のターゲットとしているRNAポリメラーゼが、インフルエンザと同じコロナウイルスにも存在し、その構造が似ているから有効である可能性があるのではないか、と言うことから研究的に使用されるようになりました。当初は「アビガンが効いた!」などの情報が流れることも有り、期待を持っていた人もいたかも知れませんが、その裏にアビガンで聞かなかった人がどのくらいいたのかが、これではわかりません。もしかしたら、ほとんどの人が効かないのに、効果があった人だけ報道されていた可能性もあったわけです。最近では少しずつ論文も出てきていますが、明確な結論はまだでしょう。

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40121-021-00517-4

 

イベルメクチンも同じではじめは基礎実験の論文がクローズアップされましたが、今現在ではしっかりした臨床研究が少なく、新型コロナ感染症治療薬としては今のところ確立されていません。

https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapies/antiviral-therapy/ivermectin/

 

一方、塩野義製薬やファイザー社はあらたな3CLプロテアーゼ阻害薬を新型コロナウイルス治療薬として開発中です。

https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/07/210726.html

 

この3CLプロテアーゼはSARSの研究から見つかった、酵素のひとつで、ウイルスが細胞内に侵入した後、複製するのに必要な酵素です。アビガンとは異なる作用機序であり、臨床研究の結果が待たれるところです。塩野義からは7月の時点で第1相の臨床試験が発表されているところなので、実際に臨床応用となるか判明するまではまだかかりそうです。なので、抗ウイルス薬が出るまで待つのではなく、今はワクチンを打っておくことが重要と思われます。

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