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院長ブログ

ブレイクスルー感染と3回目・ブースターワクチン(2021.09.20更新)

日本でのワクチン接種率は2回接種者は53%に達し、1回接種も含めると66%までなっています。2回接種者は米国の54%にほぼ並び、また、1回接種者を含めた割合は米国の63%を上回りました。日本のワクチン接種率は順調に上昇しており欧州のそれに追いつきつつ有ります。最近の感染者数の減少にワクチン接種率も影響している可能性もありますが、ワクチンを早期から接種を進めていたイスラエルでは最近も感染者数の増加が著しく油断は出来ない所です。

特に最近では、ワクチンを2回接種した後でも感染するブレイクスルー感染が注目されています。特に変異株に対してのブレイクスルー感染は以前より指摘されていたところです。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2105000?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

 

とはいえ、これまでも同じようなことはあり、たとえば「インフルエンザのワクチンを接種したのにかかってしまった」というような経験をした人もいるかと思います。インフルエンザウイルスはコロナウイルスと同じでRNAウイルスであり、数多くの変異株が存在します。コロナウイルスのスパイク蛋白に相当する中和抗体のターゲットはヘマグルチニンという蛋白ですが、コロナウイルスと同様変異株が多く、また、ヘマグルチニンの型も多く、15種類存在します。H1、H3とか鳥インフルのH5などがそうでH=ヘマグルチニンです。しかもインフルエンザもA、B、C型と有り、ワクチンは基本的にA型、B型から流行しそうな株を2種ずつ選択して作られています。この株以外の流行がおこればあまり効果が無いという結果になる可能性もあるわけです。

 

米国CDCもブレイクスルー感染の可能性に対しては言及しており、ワクチンの効果は100%ではないことを述べています。しかしながらブレイクスルー感染においてもワクチン接種者ではワクチン未接種者に比較して、重症化することが少なく、入院や死亡の率が低下すると言っています。ワクチン接種を受けた人は受けていない人と比較して感染する可能性が8分の1に低下し、入院や死亡を経験する可能性は25分の1になることからワクチンは、COVID-19感染とその合併症から保護するのに非常に効果があると述べています。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/effectiveness/why-measure-effectiveness/breakthrough-cases.html

 

日本でのワクチン接種が進み8月末までに65歳以上の高齢者の9割近くが2回のワクチン接種を完了しています。厚労省アドバイザリーボードの資料による試算では7月と8月で、推定10万人以上の高齢者の感染を抑制した可能性、推定8,000人以上の高齢者の死亡を抑制した可能性があると述べています。ブレイクスルー感染があるからワクチンを接種しても意味が無いと考えるのではなく、積極的に接種することが勧められるところです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000830082.pdf

 

 

また、最近では政府もブースターワクチンの可能性について言及しています。ワクチン接種後8ヶ月を目安にして3回目の接種を考慮すると言うことです。

ワクチン2回接種後は95%の有効性を示しますが、4~6月後には84%に低下すると言われています。そのためファイザー社では2回目接種の7.9ヶ月から8.8ヶ月後に3回目のブースターワクチンを接種した人のデーターを発表しています。

その結果、

1)中和抗体は2回目接種から次第に低下して行くこと

2)3回目接種の1月後には従来型のウイルス株に対する中和能が5倍(18~55歳)~7倍(65~85歳)に上昇すること

3)変異株であるベーター株に対する中和能が2回目投与後の15~20倍以上に上昇したこと。

4)中和抗体は3回目接種から増加し、デルタ株に対してもほぼ同等(0.85~0.92倍)の中和能を示したこと

を報告しています。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2113468?query=featured_home

 

この報告から3回目のブースターワクチンで今のデルタ株に対しても十分強い免疫が誘導される可能性があると思われます。

実臨床では、イスラエルではすでに3回目のワクチン接種が勧められています。前述の通りイスラエルでは感染者数が急増しています。デルタ株や経済活動が活発化しているのもあると思われますが、ワクチンの有用率が低下している可能性もあるため、3回目に踏みきったと思われます。最近、3回目のイスラエルでのデーターが発表されています。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114255?query=featured_coronavirus

 

この論文によると、イスラエルでは7月30日に60歳以上の人でワクチンを2回接種してから5ヶ月以上経った人に対して3回目が適用される事となりました。そこで2021年7月30日から8月31日までの1ヶ月、イスラエルで60歳以上のワクチン接種者の1,137,804人のデーターベースを用いて、ブースターワクチンの効果を解析していました。

その結果

1)ブースターワクチン接種12日後の比較で、ブースターワクチン接種後の感染率は非接種者と比較し11.3倍低く、重症化率は19.5%低かった

2)ブースターワクチン接種の4~6日後よりは12日後のほうが5.4倍低かった

ことが報告されています。

8月31日までのデーターで直近の出来事だとは思いますが、今後また様々なデーターが報告されてくると思われます。

感染者数が下がっている今のうちにまずは2回接種を完了させ、感染者数増減の動向を見極めながら3回目を検討して行くこととなる可能性が有ると思われます。

 

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