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院長ブログ

オミクロン株はデルタ株より軽症か(2022.01.15更新)

オミクロン株による感染が拡大しています。少し前まで、世界各国でオミクロン株による感染拡大が話題となっており日本でも渡航制限などの措置がとられていましたが、あっという間に日本でも市中感染が認められるようになってしまいました。驚くべき感染効率です。ちょうど年末年始の人の移動もあったためもあるかも知れませんが、ここまで一気に増えるのはやはり感染性の高さによるものと考えます。

 

ただ、今のところですが、オミクロン株の感染はこれまでの新型コロナウイルスの株と比較して軽症である事も指摘されてきています。日本よりもかなり感染者が多い英国の今の状況を見てみますと感染者数(グラフ上)は昨年の秋頃と比較にならないのですが、死亡者数(グラフ下)はそのときほどは上がっていないようです。

 

実際、英国のUK Health Security Agency(UKHSA)によるオミクロン株に関する大規模調査結果の結果で、救急外来受診または入院のリスクは,オミクロン株患者ではデルタ株患者のおよそ半分(hazard ratio 0.53)であり、入院のリスクに限って言えばデルタ株患者に比べて,オミクロン株患者は,1/3とのことです(hazard ratio 0.33)。

 

また、気になるブースター接種、3回目ワクチンの効果ですが、オミクロン株による有症状の方の入院のリスクは68% (42 to 82%) 減少させるとの結果でした。発症予防効果と合わせて、ブースター接種の入院を予防する効果は88% (78 to 93%) になるとのことです。

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1045619/Technical-Briefing-31-Dec-2021-Omicron_severity_update.pdf

 

最近の発表では、ブースター接種は、ワクチン接種後の最初の2〜4週間で入院のリスクが74%減少し、この用量の10週間後以降は66%に低下。 症候性疾患に対する効果と組み合わせると、入院のリスクの低下は、ワクチンの3回目の投与後2〜4週間で92%に上昇し、10週間以上後には83%とのことでした。

https://www.gov.uk/government/news/covid-19-variants-identified-in-the-uk

 

ブースター接種の後、時間が経つとその効果が減ってくるのはこれまでと同様ですが、1~2回目をファイザー製、3回目にファイザー製またはモデルナ製接種の場合、オミクロン株に対する発症予防効果は3回目投与2~4週後に約65~75%、5~9週間後には約55~70%とのことです。10週以後だとファイザーの場合50%程度、モデルナのデーターはまだありません。この様に下がっては来ますが、デルタ株の時と同様に、ワクチン接種により感染社を減らしていける可能性はあると思います。実際英国の感染者数は減少傾向に来ているようです。

 

また、オミクロン株では他の株よりも重症化が低くなる実験の結果もちらほら報告されてきています。

動物実験ですがオミクロン株に感染したハムスターでは、新型コロナウイルスの初期の株に感染したものと比較して、肺でウイルスRNAの検出は1/1000に減少、病理学的に気管支肺炎などの像は認めなかったとのことです。

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.12.24.474086v1

 

実際人の気管支・肺の培養explant culturesを用いた研究でも、オミクロン株の増殖は気管支では早い一方、肺でのそれは低いようです。

https://www.researchsquare.com/article/rs-1189219/v1

 

新型コロナウイルスの感染経路の1つとして、肺の多くの細胞に発現しているTMPRSS2というタンパク質分解酵素が関与するものがあり、従来株は、TMPRSS2の関与でヒトの体内に侵入していたため、肺での感染がおきていました。しかしオミクロン株では、TMPRSS2が阻害されるような変異が起きているため肺細胞には感染しにくく、結果的に重症化が抑制されると推察されています。

今回のオミクロン株は変異が激しく起こっており、変異が強ければ確かに抗体がくっつきにくくなる(=抗体の効果が落ちる)ことが予想されますが、それは同時に人の細胞に(今回の場合は肺の細胞に)くっつきにくくなる可能性もあるわけです。

今後の研究で解明されることとおもいますが、もしも病原性が低くなる変異が起きているのならば、今はブースターワクチンでしのいで、このオミクロン株が消滅して行くのをはかるのが、やはりいいのかも知れません。そのためのブースターワクチン推進と思います。

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